第3章 もう1つの「旅立ち」
第24話 「傍観者」達
見渡す限りの真っ暗な闇の中。
その闇の中に、4人の男女がいる。
1人は短く刈り揃えられた真っ赤な髪に鋭い目付きをした、これまた真っ赤なタンクトップに黒い長ズボン姿をした20代前半くらいの若い男性。
その隣には長い青髪に眼鏡をかけた、白い半袖シャツに青いロングスカート姿の、赤髪の男性と同じ年頃の若い女性。
更にその隣には、少々大きめサイズの白いワンピースにオレンジのカーディガンを羽織った、ぽっちゃり体型に短いオレンジ髪を持つ、
最後に彼女の隣には、緑色のシャツに黒いフード付きの上着と黒い長ズボン姿をした、緑色の髪を持つ10代後半くらいの少年だ。
彼ら今、それぞれリクライニングチェアーに座って、目の前に浮かぶ大きなモニター画面のようなものを見ている。
そこに映ってたのは、1人の女性と23人の少年少女達が、一生懸命「訓練」を受けている様子だった。
そんな彼女達を見て、
「はは、結構頑張ってるじゃねぇか。なぁ、
と、赤髪の男性が、隣に座る青髪の女性をチラッと見ながらそう言うと、
「そうね、
と、「アムニス」と呼ばれた青髪の女性は目の前の画面に視線を向けたままそう返した。
するとそこで、
「そうねぇ。このまま順調に育ってくれれば、私達としても大助かりなんだけどぉ。
と、オレンジ髪の女性が、隣に座る緑髪の少年に向かって、のんびりとした口調でそう尋ねてきたので、
「んん? ああ、そうだね
と、「ワポル」と呼ばれた緑髪の少年は、何処か暗い……というより、何処か疲れた表情で、オレンジ髪の女性に向かってそう答えた。
その答えを聞いて、
「おいおい、どうしたよワポル? 折角
と、今度は赤髪の男性ーーカリドゥスがそう尋ねてきたので、緑髪の少年ーーワポルは「はぁ」と溜め息を吐きながら答える。
「いやぁ、実はさぁ、
その答えを聞いて、
「何、『あいつ』って?」
と、アムニスがそう言って首を傾げると、
「もしかしてぇ、『雪村春風』って子の事ぉ?」
と、オレンジ髪の女性ーーカウムがそう尋ねてきたので、ワポルは黙ってこくりと頷いた。
その様子を見て、
「ああ、あいつかぁ……」
「……」
と、カリドゥスとアムニスは露骨に不機嫌な顔になり、
「うーん、あの子ねぇ。おかしいなぁ、選んだ子達の中にはあの子は入ってなかった筈なのにぃ……」
と、カウムがなんともわざとらしい考える仕草をした。
そんなカリドゥス達を見て、
「そうなんだよなぁ。あいつは間違いなく僕達が選んだ『勇者』の中にいなかった筈なのに、何故かいるうえに『ステータス』を出す事が出来てるし。周りに気付かれないようにしてたけど、[風魔術]の『アクセラレート』を使ってたし。王都の外に出たと思ったら何故か存在を確認出来なくなったし。もう何なんだよあいつぅ……」
と、ワポルは体育座りをしてズーンと落ち込みながら言った。
その言葉をきっかけに、4人は「はぁ」と溜め息を吐くと、
「だぁ、ちくしょう! こうなったら、多少強引な手を使ってでもあんにゃろうを探し出して……!」
と、怒ったカリドゥスはそう叫びながらリクライニングチェアーから立ち上がると、
「よせ、カリドゥス」
と、4人の背後でそんな声がしたので、一斉に後ろを振り向くと、眩い白い光と共に、長い銀髪に銀色の瞳を持つ、白い長袖シャツに黒いジーンズ姿をした、1人の若いイケメン男性が現れた。
「「「「
と、カリドゥス達がその男性を見て驚きの声をあげると、
「奴の事は放っておけ」
と、「ラディウス」と呼ばれた長い銀髪の男性は、穏やかな口調でそう言ったので、
「だ、だけどよぉ……」
と、カリドゥスは何か言おうとしたが、
「今は、
と、それを遮るかのように、ラディウスはにやりと笑いながらそう言った。
その言葉を聞いた瞬間、カリドゥス達がぶるりと震え上がりながら「そうだな」と言わんばかりの納得した表情を浮かべると、
「さて諸君、我々『5柱の神々』が選んだ勇者達の成長を、共に見ようじゃないか」
と言って、ラディウスは何処かから出した、カリドゥス達が座っているのと同じリクライニングチェアーに座って、モニター画面に映る25人の『勇者』達の『訓練』を見始め、彼に続くように、カリドゥス達も再びモニター画面を見始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どうも、ハヤテです。
という訳で、今日から外伝新章の始まりとなります。
前回の話の後書きに書きましたように、今章では水音君の「運命」が大きく動き出す事になります。
一体彼に何が待ち受けているのか?
彼の今後の活動に、ご期待ください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます