悪魔

「人間は理解できねぇ生き物だなぁ!。自ら命を絶つ生物なんぞお前らくらいだ!」


 上空を当てもなく彷徨い、数多ものビル群を見下ろす。


 この地球ほしに住みついてから、人の時間でいう数千年の時間が経つ。いくつもの星を転々としてきたが、この星が卓越して居心地が良い。ゆえに再び数百年程の時を経て住み心地の良い星を見つけなくてはならないのは面倒だ。


 人間について未だに理解が出来ないことがある。なぜ自ら死を選ぶのか。俺の元いた世界だったら……


「やめろ、思い出すな」


 もう二度とあんな思いはしたくねぇ。二度とあいつらと同じ生き方をしたくはねぇ。


 気を紛らわせるために人間の観察をする。そいつらの覇気が目に見える。身体中から放たれるモヤモヤのようなものだ。


「うっわ、こいつきったねぇ感情醸し出してやがる。……頭いてぇよ」


 今にも死んでしまいそうなほど精力の無い人間を見つけてしまった。


「いや? こいつ……どこかで」


 頭を捻らせる。長年の記憶の引き出しから結びつくものを探し出し、ようやく合点がいった。


「そうかそうか!! 良かったな! しっかしこんなに変わるもんか!? ハハハハハ!!!」


 しばらくはこいつを観察してやろう。俺にとっちゃ居心地のいいこの世界でも大きな欠点はある。それは人間の負の感情が流れ込んでくることだ。頭が割そうなほど不快な気分になる。だから負の感情がダダ漏れなこいつを観察するのは気が引ける。


「まぁ慣れてやるしかねぇな」

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