第2話 「新しい出会い」

その部屋は見知らぬ場所だった。


見渡す限り清潔で美しい部屋。窓の外には、まばゆいばかりの美しい森が広がっている。


エレナの鼓動は早まり、体が震えた。すっかり変わってしまった姿があまりにも怖くて、エレナはパニックに陥り、反射的にベッドから飛び起きて逃げ出してしまった。


エレナは逃げながら、自分がどこにいるのかも分からないまま、森の中へと駆け込んだ。エレナは、不安と恐れでいっぱいだった。

たすけて!!!


なんとか街に戻ったエレナ。

誰も彼女がエレナだとは気づかない。

「誰だろうあの綺麗な子は?」

かつて彼女をいじめた子供たちさえも、笑顔で話しかけてきたことに驚いた。

話しかけてきた1人に

勇気を振り絞って話しかけた。


「あの、私、エレナで、、、」

今にも消え入りそうな声で言った。


「エレナ?誰だっけ???」

その瞬間、エレナは自分の存在がどれほど脆弱であるかを痛感した。恥ずかしくなってしまった彼女はこのまま消えるべきだと思い、絶望に打ちひしがれた。


エレナは、誰にも気づかれない絶望感とともに自宅に帰った。家は変わらないまま、温かい光が窓から漏れていた。エレナは一縷の希望を胸に、家の扉を開けた。


キッチンでは、父親と母親が夕食の準備をしている。一歩ずつ家族に近づいた。


「あの、」


父親は一瞬エレナを見て驚いたように言う。

「お客さんか?エレナならお友達の所に遊びに行っているようなんだ。」


恐ろしくなったエレナは必死に母親の腕を掴んだ。

「あの、私ッッ」


母親は優しく手を握り返し

「どこの子かしら?勝手に入ってきちゃダメよ。あら?その服、どこかで見たような...?」


エレナは絶望の中で声を振り絞った。

「わたっ私、、、エレナで、、、」


しかし、家族の誰もエレナを自分の娘や妹として認識することはなかった。エレナ自身である証明できるものが何もなく、ただの見知らぬ少女として扱われた。家族の冷たい態度に、エレナは心が砕けちってしまった。


エレナの心は、孤立感と無力感で押しつぶされ、

いつかの丘にただずんでいた。

すると彼女の前に白髪の老婆が現れた。老婆はエレナを見つけると、優しく微笑みかけた。


「ここにいたのね、ずっと探していたのよ」

老婆は言う。

「誰?」

エレナが驚きとともに見つめる中、老婆はエレナを安心させるように、そっと手を差し伸ばす。

「どこにも行くあてがないのなら私と一緒に来なさい。昨日あなたが倒れていたから心配していたのよ」

思わずエレナはその温かい手を握り返した。


老婆はエレナを連れて、そのまま空を飛び、海を超えた。エレナに輝きを見出した老婆は、自分が作った魔法ドレスのモデルになるようにエレナに言った。

今シーズンの作品がエレナにピッタリだと老婆は微笑んだ。エレナはその提案に驚きと喜びを感じ、同時に不安も抱いた。



「だが、そのためにはものすごい試練が必要になるわ」と老婆は続けた。「あなたの内なる力を引き出し、真の自分を見つけるための試練よ。それができた時、あなたは誰よりも美しく、強くなるでしょう。」


エレナはその言葉を聞いて、決意を新たにした。自分の夢を追いかけるために、どんな困難にも立ち向かう覚悟ができたのだ。老婆の指導の下、エレナは試練に立ち向かい、魔法のドレス工房での新たな生活を始める事となった。

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