うんこと僕

第6話

今日の帰りは1人である。

いつもさよならの挨拶をしたあと校門で待ってるんだが、今日は来なかった。体調不良で休みらしい。

光と同じクラスの優しい女子が教えてくれた。

……あいつ、やりやがった

ズル休みだ。9月23日月曜日の午後13時、つまり今日の昼から、ユニのイベントが始まる。年に一度の激ムズのイベントだ。

確かに無駄な学校の時間、睡眠の時間、食事の時間全てをかけてやりたいくらいだが、抜けがけはずるいだろ。それくらいなら昨日言ってくれればよかったのに。

僕だって昼からやりたかったしさぁ。今回のイベント課金ユーザーの僕でも難しいんだよ！

そんなことを思いながら馬鹿みたいに遅い足で走って家に帰った。

「ただいまー」

おかえりの返事も待たずに僕は2階の自分の部屋に駆け込む。

そしてパソコンを起動！

ユニを起動！

その間にパジャマに着替えて……

ちなみに僕は『神逆らう者』ってユーザー名でやってるが、決して中二病などではない。決して。

僕はいつも一緒にゲームしてるフレンドのところに行く。

……あれ？おっかしいな

光がオンラインになってないぞ。てっきりもういると思ったけど。あいつ学校サボっておいて、ゲームやってないのかよ。マジで体調不良だったりするのか？いや、あいつに限ってそれはないか。

「こんにちは〜」

『こんにちは〜』

「今日、どこ行きます？」

『とりあえず、うーん、素材だけ集めてくる？』

「そうですね…武器の強化素材取りに行きたいです。どこか行きたいところとかありますか？」

『うーん、私はどこでもいいよ。どの素材も欲しいし』

「じゃ、武器の強化素材、取りに行きますか」

『そうだね。今日は『こう』くんはいないのかい？』

「わからないですね。あいつのことですから昼寝でもしてるんじゃないですかね」

光は『こう』というユーザー名でやっている。光を音読みしたものらしい。光も最近強くなってきた。でもまだ僕には勝てないかなってレベルだ。

ロード中……

そうして僕らの戦いは始まった。

僕らは敵であるヒトを殲滅させる地球外生命体。

魔法と武器をうまく使ってヒトをただひたすら倒す。

「ふぅ……おわった」

楽勝。やっぱりフレンドの力はすごいな。僕1人だったら勝てたか怪しい。この調子でいけば、今年のこのイベントもクリアできるかもしれないな。去年はギリギリだったからな。余裕持ってクリアしたい。

「てるとー、ご飯よー」

「すみません、ご飯行ってきます」

『じゃ、またあとでね』

僕はパソコンの前を離れて、スマホを開く。とりあえず光にメッセージでも送っておこう。

「おきろー、ゲームするぞー」

と、もちろん既読はつかず。

「てるとー？まだー？」

やっべ、呼ばれてる。怒られる前に、とりあえず飯食いに行こう。

僕はさっさとおでんを食べてから、部屋に戻った。そして素早く席に着いた。

「お、『こう』〜こんばんは〜遅いぞ〜」

やっときたな、あいつ。遅いぞ。こんな大事なイベントの時に。

『ごめん、寝てた』

くっそこんな時に寝るなよ。

そんなこんなで、今日は夜中の3時までやった。だいぶ進んだけど、まだまだクリアまでの道のりは遠そうだ。