第6話配信部屋出来たよ

 眠気が来るまで私は、自分の先輩となる人達の動画をとにかく見ていたというよりその動画に惹きつけられていた。


 個性豊かなかわいいだけじゃなくカッコいいに母性たっぷりなママみたいな包容力があるかと思いきや、子供みたいに暴走気味にはしゃぐメンバーをみんながカバーしながらとても仲の良さが感じられる集まりだと感じた。


「は〜…あの中に私も入るのか、受け入れてもらえるかな?そもそも私は、どんなキャラになるんだろ?やっぱりキャラは作るの?天然素材で素の私を出していくの?うーんわかんないよ〜……よしっわからないものは下手に悩んでもわからないからもう寝よう。明日っていうかもう今日か、パソコンが届くんだし。寝坊しないようにし…な…きゃ」


 私は、一気に来た眠気に勝てず一瞬で寝てしまった。この時ちゃんと目覚ましを設定しておけばあんなことにならなかったのにと後で後悔する。


 ピンポーン、ピンポーンと部屋にチャイムの音が響いて慌てて私は起きて、社長が来たんだと思い急いで私は玄関に向かい自分の姿を確認せず扉を開けてしまう。


「おはようございます、ご依頼頂いたパソコンの組み立てな……どに……来ました。あのっすいません、出来たらその服を着ていただけたら」


 私は、その言葉に自分の姿を見てみる。今の姿は先日もらった下着とかにオマケで入っていたセクシーなネグリジェで、肌触りとか気持ちよくて意外と気に入ってしまい、セクシーだけど見るのは社長くらいだしと思い、油断したまま確認せず開けたら今の状況だ。


「あっ、あっ、あのしゅっしゅぐに着替えてくるんでちょっとお待ちを」


 私は、相手の反応を待たずにバタンと勢いよく玄関を閉めてそのまま腰が抜けて倒れてしまう。


うぁ〜やっちゃった~、やっちゃったよー。なんで私は確認しないで開けちゃったの〜。てか考えたら朝から来るって社長言ってたじゃん、私のバカバカ


 私は、気を取り直してすぐに着替えるために腰に力が入らないままなんとか部屋に戻り頑張って着替えて軽く身だしなみを整えてから何もなかったかのように再び玄関を開けた。


「あっおはようございます。パソコンの設置ですよね?朝早くすいません」


「はっはい…朝早くすいません、オーナーから早く行ってしっかりやってこいと言われていて、朝から行くとは伝えてあると言ってましたが、すいません」


「いえいえ、こっちも朝から来ると聞いていたのに油断してお見苦しいものを」


「いや、大変良いものをお持ちだと思います。あっいや…見たのは一瞬ですのですいません」


 このままだとお互い話が進まないので作業を進めてもらうように促しその場から移動する。


「こちらの部屋に設置したらいいんですね?大体のセット内容は聞いているので作業進めて行きますね」


 私は、邪魔にならないように隅っこに避難しながら組み立てをしているとこを見つめるが、こちらの視線に気づくことなくテキパキと作業を進めていく。


 聞いていた通り出来る人らしくどんどん持ってきた箱を開けては組み立てコードを繋いでどんどん配信部屋らしくなっていく。


「本当凄いですね。見る見るうちに組み上がって、こんなの私じゃ1日あっても出来るかどうか」


「凄いとかそんなこと無いですよ。慣れですね、小さい頃から機械いじり好きでオーナーともその関係で知り合っていつの間にか今みたいな状態になっていて、オーナーは年の割には最新の物にも詳しくてまだまだ現役ですね、年の割にはとか言ったのは秘密にしてくださいね」


 邪魔しないように軽く話しながら見ているといつの間にかもう仕上げらしくパソコンの設定に入っていた。


 「簡単な設定はしておきますので、後は配信用の設定はやりながら調整してください。オーナーからデビューの話は聞いているので頑張ってくださいね。必ず見に行くので」


 配信環境も出来上がり、後は本当に配信デビューするだけになった。

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