第2話こんなとこ初めての
デビューが決まった早速次の日から私の周りは一気に慌ただしくなった。まずは、環境配信を整えるために部屋を掃除しようとスタッフで集まったのだが、私の部屋の中はというと
「いや〜これは見事だね、せっかく広めの部屋を用意してあげて好きな家具とか買えるように支度金も用意してあげていたんだけど」
みんなが、私の部屋に入ってみたものはベッドに衣装ケースとテレビしかないハッキリ言って何も無い部屋だったのだ。
「いや〜ここまでなにもないと圧巻だね、まーあくまであの時は死なない為に最低限の部屋を用意して放置していたからね」
私も、ここに来た時は感情がほぼ死んでいてなにもする気が起きなかったから家具も必要なくて寝る場所と着替えに暇つぶしのテレビがあれば大丈夫だったから、今はそれに慣れてしまって問題なく過ごしていたんだが
「配信環境を整える前にまずは居住環境を整えてあげないとね、こんななにもない部屋なんて若い女の子としてダメダメだね、よしこうなったらまずは家具一式に新しい服とか色々買って新しい生活環境を整えつつ配信に必要なものを揃えていこう」
私は社長とともに、私が今まで来たことのない高級ランジェリーショップに連れ込まれた。
「お邪魔するわよ。今日は久しぶりにあなたが好きそうな原石連れてきたわよ。私の今一番のお気に入りだからあなたも気にいると思うわよ」
「あらっ本当に久しぶりじゃない?あなたが私に会いに来るなんてよっぽどだわね、どれどれあなたの目が曇っていないか調べてあげるわ。言っておくけどあなたとは友人だけど、仕事はしっかり割り切らせてもらうからね。私だってプロとしてのプライドがあるんですから
「もちろんよ、友人だからといって手を抜くようであればこちらから縁を切らせてもらっていたわ。そんなあなただから信用して、今日は来たのよ」
よく分からないが、どうやら社長が話しているこの店の店長らしき人とは知り合いらしく社長のお気に入りとして私を連れてきたらしい。お気に入りとか言われるとちょっと恥ずかしい気もするけど正直嬉しい気持ちの方が強い。
「ほらっせっかくあんたのとこの社長が、私のとこに直接連れてきたんだ。背筋をシャキッとさせて、顔も上げな」
私のお尻を強めに叩いて、その衝撃に私はビシッと姿勢を正す。
「なるほどね、素材としては確かに悪くは無さそうだね、後はどこまでこの素材を生かしていけるか、腕が鳴るじゃないか。この子は預かってもいいんだね?しばらくは返さないよ」
「大丈夫よ、この子がどう変わるか楽しみにしているわ、あなたはしっかり言われたようにしなさい。私の目に狂いが無いことを見せつけてやりなさい、家具とかは私達が見てきてあげるから安心なさい。それじゃまた後でね」
社長はそういうと私に背を向けてスタッフとともに人混みの中に消えていった。社長さすがに知らない人と一人にするなんてひどいです。
「なに情けない顔をしてるんだい。取って食ったりしないからそんな泣きそうな顔はやめておくれ。まるで私が鬼みたいじゃないかい」
う〜怖そうに感じたけどそこまでじゃないのかな?社長に、言われたようにひとまずこの人に言われたように頑張ってやってみよう。
「さっここじゃ他の客に、迷惑になるから奥に行こうか、付いておいで。ここは任せるよ、大丈夫だね?」
「はい、こちらは大丈夫です。任せてください、それよりオーナーの伝説の手腕楽しみにしてますね。オーナーに客を連れて来る人なんて私初めてです」
「ふんっなら楽しみにしてな、この女がどう生まれ変わるか」
私は、有無を言わさず奥に連れて行かれてしまうのだった。
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