41話「コゴエルヤイバ」

流石に悠長にし過ぎたらしい

痺れを切らした相手ブラック・ハイ・ウルフは私に向かい鉤爪を振り下ろす


「っと」


空中に飛んだ瞬間元いた場所に「バン」と音を置き去りにして鉤爪が叩きつけられる


「掠ってもデスするだろ、これ」


強化された身体能力と五感のおかげで回避できたと言っても過言ではない

さっき出されたら死んでたな、これ


「『氷槍アイスランス』」


空中に展開された魔法陣から氷の槍が放たれる

しかし予想出来たことではあるが分厚毛皮に弾かれる


【HP】18/35  

【MP】9/21


「魔力もないけど、これで!!」


着地した後すぐに反撃としてナイフで斬りつける―――が、先程よりも少し刃が食い込む程度だった


「えぇ!?」


確かに力も反応速度も上がっている

でも、あと一歩届かない


「ちょっと予想外かな――――っと!!」


後ろへ数歩飛び退けば眼前を尻尾の先端が通っていく


「新パターンは、尻尾による範囲攻撃か」


さっきの速度と勢いで首を斬れば行けそうではあるんだけどな

そんな隙は見せてくれないと思うが……


考えている間にも相手ブラック・ハイ・ウルフの攻撃は段々と激しくなり始める

今は捌ききれているが長く続くとは思えない


とはいえ、正直現状こいつの毛皮を斬れる武器は持っていない

妖刀だったら分からないがまだ与えたのは二撃だけ

体力が尽きる前にこいつを倒せる気がしない


真面目に、どうしようか?

というかさっきは、絶対このまま勝ちきれる場面だっただろ……


『あわわ』


『もはやタイムアタックどころではない』


『武器でも作れたら変わったのに……』


一つのコメントが目に付く

『武器でも作れたら変わったのに……』

確かにそうだ、武器さえあれば攻撃が通る

その武器が無いのが問題……


「あ!!あったわ打開策」


そうだ。なぜ忘れていたのだろう

無いなら作ればいい、ボクには作る手段がある


「『制作「氷」』」


【HP】18/35

【MP】0/21


今必要なのは斬りやすい武器だ

イメージは妖刀でいいだろう


手の中に氷が集まりそれはやがて一振りの刀となる


「『凍刃とうじん』なんちゃって」


MPは全部持ってかれた

これが失敗したらリスタート……さっきより集中してやらないとか……


「さあ、来い。2度目の正直だ」


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