34話「旅路」

「ああ、こんなもんでいいか」


 ボイスチェンジャーの調整を確認する

 今回は女性の声だがいつもより少し低くしている


「よし、行こうか」


 王都方面の道へ歩みを始める

 雪を踏みしめながらなるべく早めに進む


『運営の告知から来ました!!』


『初見です』


 誰ががコメントしたのかコメントが左下に出ている


「こんにちは。初配信なので全員初見さんですけどね」


 ただ声を出して話していたのが悪かったのか、狼二匹が現れた


「2匹……5匹くらい来てくれてもいいんだよ?」


 そういいながらボクは刀を抜く

 白い刃が狼を映し出す


『刀?珍しい』


『使えなくてやられるんじゃね?』


 刀を横にして構える


「じゃ、かかってこいよ」


 瞬間、狼2匹が飛びかかってくる


「おやすみ」


【HP】28/35  

【MP】21/21


 狼とボクが交差する

 そうして……狼が血を流しながら倒れる


「凍傷ダメージ痛いな」


 そう言いながら血を払い納刀する


『c?』


『化け物かな?』


「cではありません。だいたいこのゲームはチーターがいないのが取り柄の一つなんですから」


 もう一度王都への道を歩き始める


『どうやったんですか?』


『スキル?』


『回復しないのはなんで?』


「自力で。交差する瞬間に刀を振って2匹の首を落としました。回復しないのは町で回復薬買い忘れたからです」


『アホの子かな?』


『変なところで抜けてる』


「……これでも前作プレイしてた人なんだけどな」


『なおさら、何で忘れてんだよ!!』


「ふふ、こうやってコメントと話してるだけでも意外に楽しい」


 といってもそんな和やかの雰囲気長続きしないわけで……

 それは一つの悲鳴と共に崩されることになった


「キャー」


「へ?悲鳴……」


『そこら辺は、もう一つの都市に近いからよく初心者がおりてくる場所やで』


「ってことはつまり……」


『めちゃくちゃ強い、ボスが出現する場所やで』


「……一回様子見に行くか」


「痛い、痛い……」


『痛覚をオンのまま初めちゃった子かぁ』


『あのボス相手に戦ってほしい!!』


「手伝ってほしいかったら手伝うか」


 初心者さんに近づく


「すいませーん。手伝いますか?」


「お、お願いします」


「了解しました」


『参戦来た!!』


『どこまで善戦するか見もの』


「さて、それでは戦闘を始めようか」

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