18話「猫の尻尾踏む人」

「イディアットさん、お辞めください」

「あ?なんだお前、俺に逆らうのか」

「いえ、そんなことは……」


 うわぁ、面倒くさい。視線がこっちに向いてるし……


 先程のどんちゃん騒ぎが嘘のように辺りは静まっている


「何よりお前のような少女がギルドに入るのが気に入らない!!」

「ですから、あなた、一個人で人のギルドカードの削除は認められません。だいたい……」

「あ〜もう、早めにしたいんだ、何をしたら文句を言わないんだい?」


 受付嬢の子が頑張ってくれているがこれでは埒が明かない

 ここで拘束され続けるのも嫌だ、何より受付嬢の迷惑だろう


「は、簡単だ。タイマンで俺を認めさせてみろ」

「何処でやるんだ?ここじゃ迷惑だろう」


 一番手っ取り早い手段を選んでくれて嬉しいな

 ここの冒険者ギルドにも模擬戦場のような場所があるのだろうか


「大丈夫です、ギルドの裏手に訓練場があります」

「おい、早く来いや」

「分かっている」


 ところでなんで外野では賭けが起こってるんでしょうね?

 やはり冒険者とはそういうものなのか……


「ルールは一本先取。先に相手を気絶させたほうの勝ちだ、これで問題はないな?」

「ああ、大丈夫だ」


 ルールば問題ないんだが観客多すぎないのかな?

 結局、観客は大体50人程度やってきていた


「お前の武器はナイフか。そんな最弱武器でいいのか?」

「大丈夫。ナイフはボクの得意武器だから」


「「イディアット!!そんなやつに負けるな!!」」

「「ルーキー、目にもの見せ目やれ!!」」


 戦闘は木刀で行われる事となっている

 相手の武器は大剣。リーチ的にも負けている


「それでは、一本先取を始めさせていただきます」


 受付嬢の合図で先程まで騒いでいた外野が静まる


「両者構え」


 ボクは体を屈め飛び込みの準備をする

 相手はこちらが近づいて来るのが分かっているのか横に振り抜く構えを取っている


「一本先取、始め!!」


 開始と同時に走り出しなごらナイフを構える


「っ!?」


 相手も慌てて振り抜くがその程度なら見えている!!

 スライディングをしながら回避

 そして無防備な腹に一撃お見舞いする


「ぐ、ちょこまかと!!」


 今度は大きく振りかぶって縦斬りの構えを取っている

 しかし見えているのであれば……


「ほいっと」

「なぁ!?」


 逸らすことぐらいは出来る


「これで終わり」


 そうして左手で頭部を本気で殴る

 もちろん大剣を振りかざします直後では回避も出来ずクリーンヒットする


「これでいい?」


 数メートル吹き飛んだ後、泡を吹いて倒れているのを確認して受付嬢に問う


「はい、問題ありません。この勝負ルーキー、フユさんの勝利です」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る