17話「限界都市『カルト』」

「チュートリアル中でよかったな。本当に……」


 前作だったらこのまま経験値とアイテムを失うところだろう。

 だが、さすが前作よりも優しくなっていることが売りの一つであるだけはある。

 経験値もアイテムも、ついでに失われた左腕も戻っている。

 そんな万全な状態で蘇生出来たので感謝するべきだろう。


 そうして復活した後もう一度ステータスを確認する。


「『始祖』か……」


 種族の隣に新しく出てきている『始祖』の文字を確認する

 何か特別なことをしていないと思うが……いや、思いっきりしていたな

 レベル1でボスを殺すことしてたわ

 白も普通に同じことをサラッとやってたから忘れかけてたわ

 ほかに知り合いが居なかったせいもあるっていうのは秘密だぞ!!


「取り合えず最初の街まで行って落ちるか」


 このゲームでは種族の属性ごとに最初の街は異なるという特徴がある。

 例えばエルフの属性は自然なので森の街『ヴァルト』。人間は無属性なので化学の街『ヴィッセンシャフト』などなどが存在している


 ボクが向かう街は、寒さと辺境の街『カルト』

 名前から嫌な予感がしないでもないが行かなくては今後の行動も定まらない。


「行きたいか、行きたくないかと言われれば行きたくはないんだがな」


 さて、どうやって行けばいいんだ?


「……やっと見つけた」


 かれこれ20分程度森の中を走り回りやっとのことでボクは街を発見する


「うん?……なんか寂れてない?」


 普通は立派なはずの城門は一部が壊れている。

 また兵士には活力が顔に見られない

 いい意味でも悪い意味でも平和、急な異変には対応できないだろう


「これは……終わったかも」


 ただここは始まりの街、別の街に向かうにも大変だ

 だったら……今ボクに出来ることはないといえる


「さて、できる限り楽しんで、できる限り頑張りましょうかね」


 まだここの街を拠点にするかは決めていないが……


「はい、身分証明書、またはギルドカードはお持ちでしょうか?」


「あ……持っていません」


 やば!?そういう関係のアイテム持っていたか?


「ああ!!眠り人スリーパーの方でしたか。」


 眠り人スリーパー?……ああ。プレイヤーの呼び名か

 そういうところは伝わってるんだな


「そうです。そうです。」


「いやぁ、こんな辺境にも来てくれるんですねぇ」


「他の眠り人スリーパーは来ていないんですか?」


「ここは寒さが厳しすぎるからねぇ。ほとんど人が来ない」


「そうですか……」


 プレイヤーがいないのか……。やはり厳しいものが多いか

 ただもう時間だ。今後を考える前に宿屋を取って早く落ちようか。

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