9話 「雨のち晴れ」

 ゆっくり歩いて歩いて、永遠のように長く感じた時間は過ぎ去っていき……

 ボクはその家の玄関の前に立っていた。

「『人を信じよ、しかし、その百倍も自分を信じろ』っか。これまで頑張ってきた自分と白を信じるとしますかね。」


 そうしてボクはチャイムを鳴らして………


「…………いや遅くない!?」


 もう30秒は経ってるよね?いや親がいないって言ってたな。白の人見知りを甘く見てたな。


「白?入るぞ〜」

「ぴゃい」


 ん?なんか声がしなかったか?まあ大体の位置は分かったから向かうか。


「ここか。」


 そこは二階の個室。小さいこら何回も行ったことがある、白の部屋だった。

 部屋をとノックし声を掛ける。


「白、入るぞ?」

「ど、どうぞ」


 本人の許可を得て部屋に入る。そこには…

 白髪で見るからに外には出ていないと分かる少女、白がいた。


「やあ、白久しぶり。」

「えと誰?ですか。」

「……影です。詩野 影です。」

「え、本当に?」


 なんだろうか、明らかに目の色が違う気がする。


「え~と実は…………」


 それからボクは白に昨日の出来事と朝の出来事2つを纏めて話かけた。


「うん。大体分かった。でも配信のことはゲームソフトに関しては人気で無理かもしれないよ。この前も予約争奪戦に負けたし。」

「それに関しては大丈夫。ゲームソフトを二枚貰えることになってるから。」

「おお、太っ腹じゃない!」

「因みに一緒に配信してくれる?」


 これを達成できれば完全に目的達成したことになる。

 これに関しては白の気分の話だ。

 やりたくないと言われたらそのときに考えるか。


「影。膝枕させてくれたらやる。」

「へ?」

「膝枕させてくれたらやる!!」

「そのくらいならいいけど…」


 彼女は横になったボクの頭を撫でる。

 ただそれだけの行為なのに自然ともっとしててほしいと感じるのだから不思議なものである。


「ねぇ、影。私の家の前でチャイムを押すときどんな気持ちだったの?」

「怒らないで聞いてくれるか?」

「別に怒らない。大丈夫。」


 そんな優しい言葉にボクはポツポツとこぼれるように弱音を話す。


「怖かったんだ。避けられたらどうしょう。嫌われたらどうしょうって。本当に不安だった。でもね、玄関でのくだり。あのおかげでいつもどうりに話すことができたんだ。」


 この話は駄目だな。久し振りに涙が出てくる。


「ねえ白。一つ言いたいことがあるんだ」

「?どうしたの」

「いつも支えてくれてありがとう」

「それはどうも。でもそれはお互い様。」

「そっか。それもそうかもね」





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 本編前の前章終わりです

 1日に1投稿に戻ると思います

 最後に、見ていただきありがとうございました

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