5話 「病院と先祖返り」
「うん?」
なんだろう、湿っぽい匂いがする。
そう、まるで雨のような。
そんな考えごとをしているうちに額に雨粒が当た る。
「っやば。たしか今日は大雨たまったよな?」
ならば善は急げだ。
買い物バッグを車にしまい込み玄関へダッシュする
「お母さん雨降ってきたよ!!」
「あらら。それは大変。早く行きましょうか。影、ビニール傘2つ持っていって」
「分かったよ」
それにしても先程の匂いはなんだったんだ?
今まではこんなことは無かったはずだ。
これもこの体に変化したときの副作用か?
「まあ、取り敢えず病院行ってからだな。」
病院行って何か分かるとは思わないけど……
まあただ分かるという可能性に賭けても別にいいだろう
「あれ、お母さん。洗濯物は大丈夫だったの?」
「ええ。雨予報だったし洗濯物は風呂場に干しておいてあったから大丈夫よ。ただこんな急に降るとわね」
「本当に外出たぐらいだしタイミング最悪だね」
まあ次へ運を貯めたと言うことにしよう。そうしよう。
「詩野 影さんでしたね。本日はどのようなご要件で?」
「ええ実は何故かこの子が昨日性転換していまいなにか一応病院に。」
「ああ、なるほど。100年に5人程度居るんですよね。私の予想が正しければというか、見ればわかりますが、別の種族になっていると思うので種族検査しますね。」
いや原因分かるんか。有能すぎる気がする。
「じゃあね、影さんはこっちに来てもらって。」
その後注射や精密機械等をを使って色々と調べられた。
あと看護師さんにめちゃくちゃに甘やかされた。
うん、まあね。この見た目だからね。うん。別に大丈夫なんだけどね。
「あ〜やっぱり。多分影さんは氷猫族への先祖返りだと思われます。」
「先祖返りとは何ですか?」
「え〜、つまり何代も前の先祖の特性がその子孫に現れることです。例えば羽が生えたり、尻尾が生えたりね。ただ性別まで変わる先祖返りは初めて見ました。」
「その、先祖返りを治す方法はあるんですか?」
「……すいません。先祖返りは治す方法は見つかっておりません」
そうか、直す方法がないのか。
一度自身の手を見る。
小さくて弱々しい。この手が一生の付き合いになる。
それが分かっただけでも御の字だろう。
「分かりました。今日はありがとうございました。」
「ええ、お大事になさってください。」
そうしてボク達は部屋を出る。
大きな窓から外が見えて、まだ薄暗い外にはまだ雨が降り続けていた。
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