2話 「報酬と依頼」

 さてこのゲームは『ウェルカム・ トゥ・ヘル』という名前のいわいるクソゲーだ。

 ただ、他のクソゲーと違うところがある。

 

 それは……作画◎ストーリー◎こだわり要素◎まさに普通だったら神ゲーになるゲームたったが、何をとち狂ったか運営がこんな設定を追加した。

「このゲームで怪我すると現実と同じ痛みを味合う」という意味がわからない設定。


 加えてこのゲームはいわいる死にゲー。

 死んでなんぼのゲームでこんなことしたらそれはそれは売らず今ではサ終カウントダウンが始まっているゲームとなってしまっている。

 

 今回は最後のプレイヤーとして害悪と言われていたラスボスを倒すために戦っていたのである。


「さーてさて、報酬は何かな?」

 

 そんなことを呟いていると『ポン』と音を立て、三つの宝箱が召喚される。


 これは一つを取ったら他2つは取れないパターンのやつかな?


「人間はT字路では左に曲がる習性がある……。つまり逆張りで右だオラァ」

 

 勢い良く扉を開けると…。

 神々しい光が溢れ出した。

 

 まあ当然かがみ込む勢いで開けておいたら……

「グア、目がァ目がァ」

 なんだこの初見殺しは!?失明したらどうするんだよ。まったく。


「あ〜。やっと視界が戻ってきた。さてもう一度かくにんしようかな!」

 

 もう一度確認するとそこには女神が立っていた。

 そっか女神が居るのか。……なんだよそれ!?


「実は貴方にお願いがあってきました」

 

 なんだよ。その面倒くささそうな典型例みたいな依頼の頼み方。こういうのは見なかったことにして耳を防ぎながら逃げるのが一番だ。

 

 さあーて耳を耳栓で塞いでこれで…


『『ファミチキください』』

「馬鹿な、こいつ直接脳内に!?」

「やっと返事をしてくれましたね。」

 

 く、罠だったか。さっきからなんだよ。つか何の女神だよ


『『運営の女神です』』

「いや、ナチュラルに心読見ないでください。しかもあなた運営様ですか」

「さて冗談は置いといておきまして、全クリの報酬として我が社の最新作『Campus』を2セットと、現金8000万円をお送りいたします。」


 おお、いきなり話がぶっ飛んできたな。


「もちろん無償というわけではありません。代わりに『Campus』のゲーム内の映像を配信して欲しいです」


 ふむ。そういう話か。

「それくらいなら了承しますよ。ただ友達と一緒に参加することになりそうですけどいいですか?」

「それくらいならいいですねー。むしろ『パレット』では複数人でパーティーで強力なボスを討伐するスタンスをとっていますから。願ったりかなったりと言うやつです。」

 

 こちらに不利になる条件はなさそうだな。こちらにいい条件ばかりだしこれは契約していいだろう。


「分かりました。交渉成立です。契約書はありますか?」

「はい。ありますよ。こちらをどうぞ。……

 まあ貴方には女体化してもらうんですけどね。そっちのほうが配信も人気が出ます!!(小声&早口)」

 

 今なんか不穏なことを言っていた気がするがよく聞こえなかった。


「あの、何か言いました?」

「いえ単なる独り言です。ではサインを確認しました。システムを進行します。」

 

 ん?システム?


「何を言ってッ、ッ!?」

 

 突然自分の身体からとてつもない痛みが発せられ声にならない悲鳴を叫んでしまう。


「ああ。性別を変更する際の性変更痛ですか。安全のためあなたを強制ログアウトさせます。」

「まち、やが、れ。ふざけん……」

「ではさようなら。またいつか機会があるときに」


 その言葉を聞き終わったタイミングで視点が暗転した。

          ◆

 ここはどこだろうか。辺りは白銀の世界、空を見上げれば赤い月が悠然と輝いている。

 

 そんな世界の中たった一人の少女がいる。

 獣人だろうか?銀色の髪の中に耳が覗いている。

 それに真っ白な肌がでとてもきれいだった。

 ただなぜだろう?初めて来たこの場所に見覚えがある。


「あなたは誰?」


 自然と漏れたその一言に少女は笑って……

 

 その瞬間、再び世界が暗転し眠っていた意識が覚醒していった。

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