第零章 全てが変わった日

1話 「最後の戦闘」

「はぁ、はぁ。やっと追い詰めたぞ。」


 もうボクのカラダはボロボロ。

 左手は吹き飛び、体も所々えぐれている。

 それでも僕にはやらないといけないことがある。

 それは……


「幕引きとしよう。さあ、とっとと死に晒せ」


 こいつを殺すことだ。


「は、何を抜かす小僧が!!絶望の渦な落ちろ『地獄の業火』インフェルノ


『ヤツ』の右手に惑星大態度の禍々しい火球が現れる


「お前程度にワシを殺せると思ったかああ!!」


 構えを取る『ヤツ』が放った攻撃を消し去る切り札の一つを切るために。


「っふぅ、」

 

 場は緊張感で包まれている。

 息も荒く体も痛い。だがこの攻撃を防がねばやってきたこと全てが無駄になる


「時空神クロノスよ。我に対する憎悪を消し去り給え」


 詠唱する体に残る殆どの魔力を掛ける。神の権能の一部を使うこの技を紡ぐ。


「権能『時空改竄』」


 瞬間『ヤツ』から放たれるはずだった火球を消し去った。


「な!今のお前になぜそれほどまでの力が!?なぜ何も上手くいかん!?ワシは竜人じゃぞ!?お前もさっさと死ねええ『死の世界デスワールド』!!」


 慌てふためく『ヤツ』を尻目にショルダーからナイフをボロボロの取り出す


「さあ次で最後だ。最後まで持ってくれよ相棒!!」


『ヤツ』から放たれる密度の濃い弾幕をまるでタップダンスのように避けながらナイフを構える。


「こんなところで死ねるかあああ『竜星の剣撃』ドラゴンバイト!!」


『ヤツ』も魔法剣で応戦する構えを取っている。

 

 さあこれで終わりにしよう。この技は『彼女』が使っていた風をまとった神速の一撃。


「神速『鎌鼬いいいい』!!!」


 お互いが交差する。

 数秒の沈黙の後パリンと音を立て、持っていた相棒が壊れる


「タダの人間風情にこのワシが破れるなどと……」


 ドサッと音を立て倒れていた『ヤツ』は段々と塵となって消えていっていた。

 そうして視界には『You defeated the enemy』と表示される。


 そうしてアナウンスが告げる。


『『ラストボス漆黒の龍人が討伐されました。

 おめでとうございます。ゲームクリアです』』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る