第17話 ソーセージのすぐ下のところ?
「お姉ちゃんたち、お姉ちゃんの学校の生徒なんでしょ?」
「はい?」
わたしが反応する。こういう単純な反応は任せておいてもらおう。
「だって、おんなじ服着てるもん」
「はあ?」
ああ。まあ。
制服ね。
このへんでセーラー服の学校はいくつもある。おんなじ服かどうかは、その制服を見分けられないとわからないのだけど。
ま、わかるよね。このセーラー服ぐらい。
「いや。お姉ちゃんたち」
と、そのセーラー服のへれんが、膝に手をついて、相手の身長に合わせるように身をかがめて言う。
お姉ちゃんたち、ということは、わたしもお姉ちゃんの一人か。
くすぐったいな。
「二人の名まえは見てても、
ああ、つまり、わたしたち二人の「お姉ちゃん」が、その詩織ちゃんという子の「お姉ちゃん」と同じ学校だ、と言っているのか。
やっと仕組みがわかる。わかったところで、
「そんなこともわからないの?」
なんてなまいきに言い返してきたら、ちょっと叱ってあげなければ、と思う。
でも、紺地の浴衣のたね
「あ、わたし、
とすなおに自己紹介し、
「ああ、いや、問題はしおちゃんのお姉ちゃんだったよね?」
で、そのしおちゃんの苗字もこの根本たね子が言うのかと思うと
「わたし、
胸を張って、きちっと言う。
なんだ、言えるんじゃん。
「お姉ちゃんは城崎
「ああ!」
それでわかった。
ちょっと茶色っぽい感じの髪をいつもぜんぶ後ろに流している、へれんよりもまだちょっと背の高い子。
音楽がとても得意だけど、部は園芸部だったかな? 成績もよくて、ちょっとつんとした感じで、なんかクラスのなかで独特の場所にいるみたいな感じの子だ。
この詩織ちゃん、たしかに髪の毛のさらさらな感じが咲織ちゃんと似ている。色と長さは違うけど。
「それで?」
へれんが会話を続ける。
「えっと」
白地の浴衣にオレンジの模様とオレンジの帯の城崎詩織が答えた。
「お姉ちゃんが先にお祭りに来たんだけど」
「うん」
詩織と並んだたね子が、へれんに向かってけんめいにうなずく。もしかすると、ほわほわした詩織に任せておくと必死さが伝わらないと思ったのかも知れない。
小学生のときのわたしも、こんなのだったな。
へれんといっしょにいるとき……。
「お姉ちゃんが、ソーセージのすぐ下のところに椅子を用意しておくからって言ったんだけど、それが見つからなくて」
なんだそれは?
「ソーセージのすぐ下のところ?」
へれんもきき返している。
詩織は
「うん」
とうなずいた。
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