りんたろ〜は強い
オーガキングが動きを止めたのは僅かな時間。
腕を振るえば氷の檻はその強度を保てずに砕け散ってしまった。
もういくしかない。
俺は強い。
それに湊隊長にも託された。
大丈夫だ。
今の俺ならいける。
ああ、俺ってバカだな。
言葉ではわかってたつもりだけど、本当の意味ではわかってなかった。
モンスターと戦うとはこういうこと。
敵を倒すとはこういうこと。
この場において命の重さは等価。
モンスターだからと一方的に敵の命だけが軽いわけじゃない。
どちらも絶たれればそこで終わり。
そのリスクがあることはわかっていた。
理解していたつもりだったけど、今この場に立って今までの覚悟が全然足りなかったことがわかる。
怖い。
モンスターを相手にここまで恐怖を感じたのは初めてだ。
ここまで至って初めて感じるこの感覚。
多分俺は鈍いんだろう。
命の危険のないサラリーマン生活が長かったせいで鈍っていたのかもしれない。
正直逃げれるものなら逃げたい。
数カ月前までただのサラリーマンだった俺が、こんな状況になるなんて。
会社のみんな元気にしてるかなぁ。
課長もがんばってるかなぁ。
課長、俺モンスターと戦ってますよ。
こいつを倒さないと被害がひろがってしまう。
「りんたろ~は強いんだよ」
凜の言葉に縋り恐怖を押し殺す。
こいつを逃せばいずれ凜にも被害が及ぶ。
不安を感じていた市川さんにも危害が加えられるかもしれない。
「それじゃあ、いきますか」
オーガキングを見据え、右足に力を込め踏み出す。
一瞬上半身が後方へともっていかれそうになるのを立て直しそのまま駆ける。
”修正入った”
”何人ダメだったんだ”
”うぁ、マジか。オーガキング”
”オーガキングはじめて見た”
”俺、修正入り初めて見た。これ大丈夫なのか”
”マジでヤバイ。誰か頼む。全滅するぞ”
”修太朗~ え⁉ うそだろ”
”修太朗でもダメか”
”明神がいった。上級!”
”西岡もいった。上級連発!”
”これで燃えろ。燃えてくれ。あぁぁぁ”
”まだ湊ちゃんがいる。湊ちゃんの上級魔法なら。氷漬けに”
”うそだろ。隊長3人の上級でも足止めにもならんのか”
”これは、無理だ。ホーリー12じゃないと無理だ。成神は来ないのか?”
”イレギュラーに間に合うはずない”
”逃げろ! 頼む逃げてくれ!”
”あ? 修太朗がピンク色”
”修太朗やる気だ”
”中級強化。そういえば太郎が中級使うの初めて見るかも”
”朗、中級使えたんだ”
”やばい、こんな時なのに修太朗がカッコイイ”
”わかる。あの顔。漢の顔”
”太郎~お前しかいない。イケオジパワー見せてくれ~”
”俺にまかせろ感がすごい”
”あ”
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます