オーガバトル2

桜花さんと話してる間にも他の隊員が戦っている。

油を売ってる場合じゃない。

『ファイアバレット』じゃ倒しきることが出来なかった。

素人の俺でもオーガロードが今までのモンスターと一線を画すのはわかる。

そんなモンスターを前に足がすくむ。

こういう時こそヒーローって活躍するんだよな。

絶体絶命の時こそ煌めくような活躍をみせるのがヒーロー。

俺は昔からそんなシーンを画面を通して擦り切れるほどみてきた。

ここで活躍したら、こんな顔の俺でもすこしはモテたりするだろうか

雄たけびを上げるようなキャラでも歳でもない。

静かに足と剣を持つ手に力を溜め、オーガロードへと爆発させる。


ガギイイン。


止められた。


「花岡⁉」

「修太朗さん!」


オーガロードの命を刈り取るべく振るった剣が止められた。

今までこんなことは一度もなかった。

だけど、こんなのは最初からわかってた。

続けざまに剣を振るう。

『ファイアバレット〛により手傷を負っているはずだけど、速いし重い。

斬り結ぶたびに肩が、手首が悲鳴を上げている。

だけど、力を緩める事は出来ない。

そんな事をすれば、目の前にいる3本角の鬼に一瞬でやられてしまう。

先手を取り攻めているから、なんとか張り合えているけど、この巨体の攻撃、受けに回ればおそらく耐え切ることは難しい。

息が苦しい。

全身に乳酸がたまっていくのがわかる。

次第に身体が重くなってくる。

重くなっていく身体を無理やり動かす。


ドオオン!


オーガロードの背に岩の礫が炸裂し、一瞬動きが止まる。

ここでいかなきゃいけない。

それはわかってる。

この機を逃せば、劣勢に立たされる。

身体が重い。

くそっ!

おっさんである自分の身体が恨めしい。

本物のヒーローならここで、必殺の一撃をお見舞いするところだけど、ただのおっさんの俺の身体が反応してくれることはなかった。


「修太朗さん下がってください!」

「湊隊長!」


反応できない俺にかわり湊隊長がオーガロードの前に立ち刀を振るう。

その間に場から一旦退く。

情けない。


”修太郎すげえ”

”オーガロードとタイマン張ってる”

”人類の壁を越える修太朗。お前が頼りだ~!”

”修太朗、休んでる場合じゃない。湊ちゃん助けるんだ”

”修太朗限界じゃないのか”

”修太朗も寄る年波には勝てんか”

”がんばれ~! がんばるんだ修ちゃん”


少しでも体力を回復して、湊隊長と早くかわらなければ。

後方で身体を休めるが、歳のせいか全く回復した実感がない。

気が急くが、身体はついてこない。

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