オーガロード

”ぎゃああああ、オワタ。オーガロードだ”

”オーガロードが2匹? それにジェネラルも?”

”どこから現れた? カメラの映像じゃわかんなかったぞ”

”転移? いやロードとジェネラルのスピードならカメラじゃ追えないか”

”援軍送れ! 誰か通報しろ!”

”もうダメだ。オーガロードって隊長でも無理だろ”

”そもそもなんで5階層にオーガロード。なにが起こってる?”

”石橋隊はこれにやられたんだ。これは単独隊ではむりだ”

”いや、4隊いてもむりだろ”



「だめだよ。絶対だめ」


凜はやっぱり優しい。

そんな凜を護りたい。

おこがましいかもしれないけど湊隊長の事も護りたい。


「凜、大丈夫だ」

「大丈夫じゃないよ」

「いつも凜が言ってくれてるだろ。俺は強い」

「それは……」

「俺を信じてくれ。俺は大丈夫だ。だけど、ここからは戦いに集中しなきゃ無理だ。だから凜は救援部隊を連れてきてくれ。頼んだ」

「でも……」

「でもはなしだ。凜が頼りだ。頼んだぞ」

「わかった。絶対戻って来るから。それまで絶対」

「それまでに絶対倒しとくから」

「りんたろう……」


「俺を信じてくれ」なんてセリフを女性に言う日が来るとは。

差し迫った場面じゃなきゃ絶対に言えない言葉だけど、今はこれでいい。

凜達が去れば、俺はあいつらを倒す事に専念するだけだ。

俺は強い。

今は凜のその言葉を信じる。


「すべてを焼き穿ち燃やす。火は礫、眼前の敵をその礫で炭となせ。五指にその礫を宿し放て『ファイアバレット』」


敵は4匹。

5本の指先に宿る炎に魔力を練り込むイメージで込めていく。

炎の色がオレンジから蒼へとかわる。

集中を高め5発の炎をオーガの一団に向け打ち込む。

この状況で動いている敵に当てるのは、俺には難度が高すぎた。

当てる事が出来たのは3発。

残念ながら俺の技量では残り2発は外れてしまった。


「ガアアアアアアアアア~」


蒼白い炎が着弾し、オークジェネラルの一匹を消滅に追いやることが出来た。

オーガロードに当たりはしたが消滅するまでは至っていない。

流石はオーガロードだ。

ジェネラルとは比較にならないほど炎への耐性が高い。


「修太朗さん、流石です!」


え⁉

今の声って桜花さん?

俺はおそるおそる声の方へと視線をやると、そこにはカメラをこちらに向けた桜花さんが立っていた。


「桜花さん、凜と一緒に下ったんじゃ」

「私が下ったら誰が修太朗さんを撮るんですか?」

「いや、それは……」

「私には修太朗さんの雄姿を世界に届ける義務があるんです」


桜花さんにそんな義務はないと思うけど、もう攻撃してしまったしこのまま交戦するしかない。


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