3本角
集中をとぎらせることなくオーガを倒していく。
この『ギリスマティ』を使っている間、身体能力だけではなく集中力的なものも向上させてくれている気がする。
どうやら最後のオーガジェネラルも無事倒せたようだし、このまま終わりそうだ。
「ガアアアアアアアアアアアアア!」
その時、とんでもない音量の雄たけびが聞こえてきた。
鼓膜が破れたとかではないけど耳が痛い。
え?
どこにいた?
いや、どこから現れた?
先程まではいなかったと思われるオーガ4匹がオーガジェネラルを倒したばかりの隊を急襲した。
隊員が応戦すべく魔法を放つが、4匹のオーガは魔法を無視するかのように向かってきている。
2匹は角が2本。
そしてもう2匹には角が3本生えている。
2匹がオーガジェネラルだとすると3本角はその上?
とにかく、フォローに回る必要がありそうだ。
「りんたろ~」
「凜」
いつの間にか凜が俺の近くまで来てくれていた。
「あれは、ダメ。あれは無理」
「無理?」
「あの大きい方はオーガロード。あれは私達じゃ無理」
無理って、そんなに強いって事なのか?
「にげなきゃ」
「いや、でも」
「にげなきゃ殺される。りんたろ~も殺されちゃう」
凜のこの感じ、当たり前だけど冗談の類ではない。
本気で撤退も視野に入れないといけないって事か。
ここは。湊隊長の判断を仰ぎたいところだけど。
周囲を見回し、湊隊長の姿を探す。
その姿はすぐに見つける事が出来た。
オーガを倒しつつ、あの4匹の方へと距離を詰めている気がする。
俺は、大声で呼びかける。
「湊隊長!」
俺の声が届いたようで、こちらに振り向き指示をくれる。
「修太朗さん、うちの隊員と3人で撤退を」
「3人ですか? 湊隊長は」
「私は残ります。隊長ですから」
「いや、でも」
「これは隊長命令です。遅くなれば被害が広がります。おそらくこの映像で増援部隊が向かっているはずです。まずはその隊と合流を」
どうすべきなんだ。
湊隊長とのやり取りの間にも数人の隊員が離脱をはかっているのが視界に入る。
社会人なんだから上長の指示は絶対だ。
しかもそれが俺達を助けようとしてくれているのであればなおさらだ。
だけど、湊隊長の表情。
今までとは違う。
覚悟を決めた顔だ。
隊長とはいえ、湊隊長は俺よりずっと年下の女性だ。
その人を残して俺だけ逃げるのか?
もちろん、凜と桜花さんの安全もある。
どうすべきか。
ふ~~~~っ
「凜、桜花さんとけが人を連れてここから離脱してくれ」
「りんたろ~は?」
「俺はここに残る」
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