2本角

桜花さん達の前に立ち、襲って来るオーガを斬り伏せていく。

数は多いが、分散しているので俺の負担はそう多くはない。

周囲を見ると、各隊ともしっかりと対応できているようだし、このまま終われそうだ。


「修太朗さん、すごくいいですよ」


桜花さんがこちらに向けてカメラを固定しているのが気になる。

どうせなら他の人達も撮った方がいいんじゃないかと思うけど、明らかに俺に固定している。

流石に戦ってる最中に気にしている余裕はないけど、こうして落ち着くとやっぱり気になる。


「修太朗さん、あれ!」


そう言うのと同時にようやくカメラが俺から外れた。

桜花さんの向けたカメラの先には3匹のモンスターがいる。

周りのオーガよりは一回り大きく、角が一本多い2本生えている。

見た目は他のオーガより怖そうだけど、見た目で判断するのは危険だ。


”でた~~~”

”オーガジェネラル”

”いや、まて。ジェネラルが3匹⁉”

”オワタ。にげろ。にげろ~!”

”やばい、やばい、やばい”

”おおっ同接290万。他の隊の合わせたら500万いってるんじゃ”

”バカやろ、今はそれどころじゃねえよ”

”一匹でもヤバいのに3匹。にげろにげるしかない。4隊じゃ無理だ”

”いや、ゴブリンキングスレイヤーの修太朗がいる”

”オーガだぞ? オーガジェネラルとゴブリンキングは同等。それが3匹だぞ”

”うん、むり。にげろ~”


「桜花さん、あのオーガは?」

「あれ、オーガジェネラルです。間違いありません」


ジェネラルか。

ジェネラルってキングよりは下だよな。

この前のがゴブリンキングって言ってたからそれよりは下か。

この前のは少し強かった気もするけどあれより弱いんなら俺でもいける。


「桜花さん、ちょっといってきます」

「え? どこにですか?」

「あのオーガジェネラルを倒しに行ってきます」

「修太朗さん、やめた方がいいです。あれは私達では難しいです」

「そうですかね」


そんな会話を交わしている間にも、各隊の隊長格と思われる人たちがオーガジェネラルへと魔法を放つ。

湊隊長もオーガジェネラルの一匹に向け氷を放つ。

オーガジェネラルも攻撃を受け暴れ始めた。

隊長だけでも倒してしまうとは思うけど、被害が拡大するのは避けたい。


「命を育む大地よ。その力を世界を隔てる壁となして我の下へと示せ。その壁は全てを隔絶し大地の子を慈しむものなり。『アースウォール』」


この砂地ではこの魔法が効果的だ。

その事は以前検証済みだ。

岩の壁で桜花さん達を囲む。

前回の時より多めに魔力を込めたし、オーガくらいの攻撃ならしばらくは大丈夫だろう。

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