オーガバトル

とにかく、目の前の敵を倒さなければ。

気を取り直し魔法を発動する。 


「古今東西の英霊よ、気高き、その力、その魂、その権能を我に示し、敵なるものを打ち倒す英知を授けたまえ『ギリスマティ』」


足に力を溜める。


「湊隊長、いきます!」


モンスターと相対していた湊隊長が刀を引きその場から下がり、空いた所に飛び込み剣を振るう。

錆びた剣に吸われる分も考慮し魔力は多めに込めた。

その効果が如実に表れ、オーガと思しきモンスターの剣を断ちそのまま胴を薙ぐ。

顔と風貌は怖いが、防御力はそこまで高くない。


「修太朗さん助かりました」

「いえ、助けられたのはこちらです」

「りんたろ~こっちも!」


湊隊長と会話を交わす間もなく、凜の方にもモンスターが迫ってきた。

放出系の魔法は強力だけど、混戦になり距離を詰められると詠唱が間に合わない。

小柄な凜ではなおの事、この状況は厳しい。

再度、足へと力を込め踏み出す。


”おいおいおいおい、これどういう状況”

”オーガだ。オーガ。オーガが襲ってきてる”

”なんで5階層にオーガ?”

”今、修太朗氏にかけた”

”完全に首にいってた”

”数が多い。それにどこから来たんだ”

”もしかして、石橋隊ってオーガに”

”石橋隊ならオーガでも対応できるだろ”

”この数に一斉に襲われたら無理かも”

”そもそも、これ大丈夫なのか?”

”4隊いるんだぞ。大丈夫だろ。大丈夫だよな”


「凜から離れろ!」


凜の横を抜け、モンスターを斬る。

浅いか。

振り抜いた剣を力ずくで返し下段から上方へと跳ね上げる。


「凜大丈夫か?」

「うん、ありがとう。だけどなんでこんなにオーガが?」

「やっぱり、オーガなのか」


各隊、応戦しているが、負傷者がいる桜花さんの所が手薄になって手が回っていない。

ルート上のオーガを斬り伏せ桜花さんの下へと走る。

それほど強くはないけどこの数だ。


「桜花さん」

「修太朗さん!」

「そちらの人は?」

「意識がないので骨くらいは折れてるかもしれません」


意識がないのであれば、やはりこの場からすぐに動かすことは難しいだろう。

ここで、モンスターを止めるしかないな。


「修太朗さん、しっかり撮ってますから、安心してください」


桜花さんは、カメラをこちらへとむけている。

桜花さん、仕事熱心なのは素晴らしいと思いますが今はそこではない気が。


”おおっ、太郎がオーガ瞬殺"

”修太朗がいれば大丈夫だ”

”オーガごとき修太朗の敵じゃない"

”鬼殺し”

”このオーガ弱いんじゃね”

”オーガが弱いんじゃない。修太朗が強いんだ”

”きゃ~修様~さいこ~”

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