トレマ

足下の地響きは収まっていない。

確実にまだいる。


「来ますよ」

「わかってるっす」


次の瞬間大仁田さんの足下が爆ぜた。

湊隊長には、敵の出てくるタイミングがわかってたみたいだ。


「でたな~うおおおおおおっ!」


”陸人頑張って~”

”何回みてもキモイな”

”トレマってる。いけ~大仁田”

”潰せ大仁田! 人類の敵を潰せ~!”


大仁田さんは、先ほど同様避ける素振りも見せず、モンスターを迎え撃った。


「どおっせええええ~!」


渾身の一撃がモンスターの牙を折り、肉を削る。

痛みからかモンスターが激しく身体をくねらせながら、大仁田さんに襲いかかる。


「だからしつこいんだって。そろそろ沈め。おりゃああああ!」


カウンターで入った戦斧の一撃がモンスターを口から胴体まで裂き消滅へと追いやった。


「ふ~~こんなもんすかね」


”陸人くんかっこいい”

”なんか大仁田がいつもと違う”

”大仁田のやる気が違う。もっとダレてたのに”

”あれじゃね。花岡意識してるんじゃね?」

”花岡は意識しても無駄だろ。あいつはカテ違いだろ”

”何がこんなもんだ。すかしてんじゃねえ。泥臭さこそお前の魅力だ。カッコいいを勘違いしてる”

”カッコいいとは修太朗の事さ”


すごい。

あれだけ勢いのあったモンスターを力でねじ伏せてしまった。

大仁田さんのその男らしさおっさんの俺でも憧れてしまう。


「大仁田くん、凛のサポートを受けた方がベターでしたね」

「そうっすね。やっぱ修太朗さんにはなれないっすね」

「大仁田くん、うちの隊の前衛はあなたです。頼りにしてますよ」

「湊隊長にそんなこと言われたら、もう何も言えないっす。頑張ります」


今までとは全く違う動きを見せたモンスターだけど、倒した跡には何も残ってる様子はない。

強さと、ドロップはあまり関係が無さそうだ。


「次から修太朗さんも一緒に戦ってもらっていいっすか」

「もちろんです。さっきの戦いしっかりと見させてもらいました。足を引っ張らないよう頑張ります」

「あ~修太朗さんは頑張り過ぎない方がいいと思います」

「そうですね。入れ込み過ぎると動けなくなりますよね。ありがとうございます」

「そういう意味じゃ……まあいいっす。とにかく下からの直撃さえ受けなかったらどうにかなるんで」

「わかりました」


下からの直撃か。

あのモンスターに下からかじられて無事で済むとは思えない。

ますは、攻撃を受けないように防御か。

『マジックシールド』って足下に展開できるのか?

そんな使い方したことないし他の方法を考えた方がいいか。

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