需要

それからしばらくの間、俺の個人的な内容の質問を受けインタビューは終わった。


「桜花さん、さっきのって誰か見る人いますか?」

「いるに決まってじゃないですか」

「いますかね」

「いますよ。今のだって200万を遥かに超えてますから。修太朗‘sインタビューは後藤隊屈指の人気コンテンツです」

「そんな事あります?」

「修太朗さんの事を知りたい視聴者の方はいっぱいいるんです。それは理解してください」


俺のインタビューが人気コンテンツとはにわかに信じがたいけど、桜花さんがこうまで言うって事はそうなんだろう。

世の人達はいったいなにを求めているんだろう。

時代は多様性を極めているのかも。

40独身男の生態に興味を持ってくれてるって事なのか。

ある種怖い物見たさなのか?

たぶん期待に添えるような事は何も話せない。

観てくれるのは嬉しいけど、正直微妙すぎる。

それに修太朗’sインタビューって恥ずかしいな。

とにかくインタビューを観てくれている人がいるのはわかったので、今後インタビューがあれば、もう少し真剣に受け答えを考えた方がいいな。

今まで、そんなに考えすに答えてしまっていた。


“修太朗、休みはあんまり外でないのかな”

“意外、カフェとかでオシャレご飯してそうなのに”

“手料理、私得意”

“私、静かで明るくて料理得意。もう私でよくない?”

“これ台本ありだな。受け答えがアイドルのそれ”

“確かに好感度高すぎるし。素じゃないかも“

”スーパーで弁当買うアイドルはいない“

”インタビューは続けてほしい“

”しゅう様に手料理食べてもらいたい“


ダンジョン探索を進めていくが、前回までよりもペースが早い。

今までは俺に合わせてくれていたんだとわかる。

さすがに置いていかれる様な事はないけど、気を抜けるような余裕もない。

大仁田さんがモンスターをなぎ倒し、凛が後方から魔法で仕留める。

俺も大仁田さんに続き、剣でモンスターを倒して進んでいく。

湊隊長はバランスを見ながら指示を出してくれる。

4階層に入ってからもペースが落ちる様子はない。

オークやトロールもどんどん倒して進んでいくと、遂に5階層への階段へと辿り着いた。


「これが5階層の階段ですか」

「そうです。早速降りてみましょうか」

「はい」


湊隊長は溜めもなく、即5階層へと降りるらしい。

みんなにとっては5階層は、ただの5階層だろうし特別準備をするまでもないんだろう。

初めての俺は結構緊張するけど、みんなについていけば大丈夫だ。


「りんたろ〜もしかして緊張してる?」

「それはするよ。俺にとっては初めての階層だから」

「りんたろ〜なら大丈夫。きっと11階層より先でもいけると思う」


凛の気遣いはありがたいけど、さすがに盛りすぎだと思う。

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