約束

「ミートソースパスタの方は」

「あ、こっちです」


注文していた食事が来たので凜と2人で食べる事にする。

すっきりしたし、パスタもおいしい。


「たのしみ~」

「なにか楽しみなことがあるの?」

「それはもちろん、りんたろ~との約束」

「え⁉」

「なんでもいう事聞いてくれるんでしょ?」

「あ……」

「なにしてもらえるかな~とか考えると楽しくなっちゃう」


たしかに約束をした。

それもほんの数分前に。

だけど、あれは俺が責任を取らないといけないと思ったからで……。

いや、思い返してみると、そうではなかったかも。

あの時の状況を話してもらう為に約束したような……。

どうにかしなくちゃとの思いからだったけど、凜の中であれは生きてるのか。

俺が出来る事なら別に吝かではないけど、いったい何を頼むつもりなんだろうか。

凛の事だしそんな無茶ぶりはないと思うけど。


「ふふふ、おいし~ね~」

「うん」


たしかにこのミートソースパスタはおいしい。

流石は凜が連れてきてくれたお店だけはある。


「りんたろ~ワインとか飲む?」

「今日は遠慮しとくよ。よかったら凜は飲んでくれて大丈夫だから。今日は俺持ちだから」

「りんたろ~が飲まないならわたしもいいかな~」


凜に遠慮させてしまったけど、昨日の今日で凜の前で飲むのはさすがに憚られる。


「りんたろ~少しは慣れてきた?」

「みんなのおかげで。凜もよくしてくれるし、後藤隊のみんないいひとばっかりだから」

「そういってもらえるとうれしいな~。ところで質問なんだけど、今日中級魔法使おうとしてなかった?」

「凜が中級魔法を使ってたから、俺も使った方がいいかと思って」

「やっぱり。じゃあ、りんたろ~って初級魔法じゃなくても使えるんだ」

「それが、使ったことはないから絶対とは言えないけど、使えると思うんだけど」

「使ったことがないの?」

「学校の的を初級魔法で2つも壊しちゃったから」

「あ~~それでか~。でもあれって上級にも耐えられる強度だったような」

「面目ない」

「そっか~りんたろ~の初級魔法は他の人の上級魔法以上なんだ」

「いや、その時はまだ魔力のコントロールが出来なくて」

「りんたろ~が中級とか上級使ったらどうなるんだろ。もしかして魔族とかも倒せたりして~」

「魔族ですか? 凜は会ったことあるんですか?」

「ないよ~だってあれに会っちゃったらやばいでしょ~」


魔族か。11階層迄到達している後藤隊に所属している凜でも出会ったことはないのか。

今の時代都市伝説的な一面もあるのかもしれないな。

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