真実
「え〜っとそれからどうしたんでしょうか」
「わたしの家に運びこんで寝かせてあげたの〜」
寝かせてあげたの〜って軽い感じだけど、そんな感じ?
「それで俺はなにを……」
「りんたろ〜は気持ちよさそうに寝てたよ〜」
気持ちよさそうに寝てた。
それは、ほぼ泥酔状態だったのだから気持ちよかったんだろうけど問題はそこからだ。
「寝てたのはわかったんですが、俺はそのあとどうしてたんでしょうか」
「ん〜寝てたよ〜。呼び出しかかったし、もっと寝かしてあげたいとは思ったけどね〜」
寝てた?
この口ぶりからすると、目を覚ますまでずっと寝てた?
いや、でもな……。
「聞きづらいんですが、起きたら服を着てなかったと……あれはどういう」
「あ〜寝るのに楽な方がいいと思って、シャツのボタンを外してみたら、あとはりんたろ〜が寝ながら器用に脱いでたよ〜」
「俺が自分で?」
「うん、そうだよ〜」
「自分で脱いでそのまま寝てた?」
「そう」
んん?
だけど、起きたら同じベッドに凛も寝てたぞ?
「え〜っと凛も同じベッドで寝てたと思うんですが」
「うん、りんたろ〜の寝顔がかわいくて眺めてたら、わたしも寝ちゃってた」
俺の寝顔がかわいい?
言ってる事がほぼ意味不明だ。
なんで眺めてたのかも意味不明だ。
だけど、凛の話をまとめると泥酔して意識を失った俺を凛が部屋まで運んでくれた。
凛の部屋のベッドで寝かせてもらった俺は自分で服を脱いだ。
なぜか俺の顔を眺めてた凛も同じベッドで寝ちゃってた。
俺が目を覚ましたのがあの時?
という事は、俺に記憶がないんじゃなくて、俺はずっと寝てた。
いい歳したおっさんのする事じゃないけど、凛のベッドで寝かせてもらうなんてあってはならない事だけど、俺はやらかしたけど凛にやらかしたわけじゃないのか?
「凛香さん、俺は凛香さんに何かしたわけでは……」
「何かって?」
「え〜っと何かと言うのは、いわゆるなにです」
「……もしかしてりんたろ〜が、いきなり土下座してきたのってそういうことだったの?」
「そういう事です」
「そっか〜、だからか〜。男の人に土下座されたの初めてだったから、驚いてそこまで深く考えてなかったよ〜」
「じゃあ、そういう事は……」
「残念ながら、ないです。だってりんたろ〜全然起きないんだもん」
「面目ない」
「それじゃあ、今日もそれを気にしてたんだ」
「はい、そうです。二度とこのような事がないよう気をつけます」
「別に二度目があっても全然いいよ〜」
やっぱり凛はやさしい。
でも、何にもなかったのか。
凛にやらかして無くてほっとした。
ほっとしたけど、これで責任を取ることもなくなった。
不謹慎にも凛と特別な関係ではなくなったという意味では少しモヤっとする部分がある自分が情けない。
おっさん全開の自分が情けない。
社交辞令でも、二度目があってもいいよとまで言ってくれた凛に対して俺って奴は……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます