おっさんの責任
事務所を出てからリンに連れられて個室有りのお店へと向かう。
本当は俺が案内するべきところだけど、まだ土地勘がないのでそれは難しい。
「ここだよ〜」
凛が連れてきてくれたのはオシャレなイタリアンのお店だ。
道中凛が気を遣って色々話しかけてきてくれたけど、全く頭に入ってこなかった。
店に入ると希望通り個室へと案内された。
「りんたろ〜どれにする?」
「じゃあ、ミートソースで」
「ミートソースおいしいよね〜」
ミートソースがどうこうというより、他のがどんな味なのかよくわかってないだけだ。
ふ〜〜。
注文を済ませたので本題に入る。今日はその為に付き合ってもらったんだから。
「凛、いや凛香さん! 大事なお話があります」
「えっ、りんたろ〜そんな真面目な顔でどうしたの? 急に個室でって言うし、もしかしてプロポーズ⁉︎」
「いや、違う」
「え〜っ、ちがうのか〜。それじゃあ愛の告白⁉︎」
「それも違うから」
「残念〜。ちょっと期待したんだけどな〜。それじゃあなんのお話なのかな〜?」
場を和ませようと冗談を言ってくれてるのはわかるけど、今の会話のどこに期待するような要素があったのかは謎だ。
「実は、先日の俺が酔っ払ってしまった件なんだけど」
「あ〜〜」
「恥ずかしい話なんだけど、あの時の記憶が全くなくて。嫌かもしれないけどあの時何があったのか話して欲しいんだ」
「何があったのかって言われてもな〜」
「お願いします」
「大丈夫だよ〜。別に気にしなくていいから。誰にでも失敗とかはあるし」
凛はやっぱり優しいな。あの時は動揺してしまったのもあって凛の優しさに乗っかってしまったけど、いい歳のおっさんがする事じゃない。
「俺ができる事ならなんでもするから.お願いします」
「なんでも?」
「もちろん、なんでも」
「本当に本当?」
「本当だから、お願いします」
「そうなんだ。じゃあ約束だよ〜」
「はい」
「あの日はね〜、お店を出た瞬間りんたろ〜がふらふらし始めて、すぐにその場から動けなくなっちゃったの」
「申し訳ございません」
「それで、りんたろ〜のお家に送らなきゃと思って、住所を聞こうとしたんだけどどうしても起きてくれなくて」
「はい……」
「そのままにしとけないから、タクシーに乗せて私の家まで運んだんだよ〜」
「重かったんでは……」
「うん、それは大丈夫。こっそり強化魔法使ったから〜」
凛、強化魔法を使って運んでくれたのか。
だけど魔法ってそんな事に使っても大丈夫なんだったっけ。
いや、迷惑をかけた俺が言う事ではないな。
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