インドアキャンプ
休憩を終えて、ダンジョンを先へと進む。
まだ4階層だけど、既に5時間くらいは経過している。
帰りの方がペースは早いけど、戻る時間を考えるとそろそろ時間かもしれない。
「大仁田さん、日帰りで行けるのは何階層までですか?」
「そうっすね、目一杯頑張ったら7階層。まあでも6階層くらいまでですかね」
「じゃあ、7階層からは泊まりなんですね」
「そうです。でも泊まりはそうそう無いんで、基本6階層までが多いっすね」
「じゃあ、それより先に行く場合は……」
「攻略メインで合同チームで行く事が多いっす。流石にこの人数だけでダンジョンに泊まるのは危ないんで」
「そうなんですね」
普段は6階層までか。
ダンジョンに泊まりとか、ちょっと想像がつかない。
興味はある。
少し前にキャンプとかアウトドアブームがあった時に動画とかで観たりした事もあった。
ただ、アラフォーの独身男と一緒にキャンプしてくれる相手などいるはずもなく、ソロキャンプはハードルが高すぎて憧れだけで断念していた。
勿論、仕事だし、ここはアウトドアというよりインドアだけど興味はある。
7階層以降だし今すぐではなさそうだけど、その機会が訪れるのを密かに楽しみにしておこう。
しばらく歩いていると、また微かに地面が響いている。
少し前に感じたのと同種の振動。
近くにトロールがいるようだ。
「今日は何もしていないので、今度は私が出ます。大仁田君も一緒にやりましょうか」
「はい、俺も最近運動量が減ってたんで、まかせてください」
“湊ちゃん出るよ!”
“いやん、凛々しい”
“大仁田も負けてられんな。修太朗とファン層被るからこの辺りでしっかりマダムにアピールだぞ”
“ファン層被ってる?”
“マダム層は丸被り”
“湊隊長の出番が減って悲しい。もっと観たい”
“隊長〜俺はずっと隊長だけだ〜!”
”修太朗も映して〜〜“
今度は、湊隊長と大仁田さんが戦ってくれるようだ。
湊隊長の戦いを見させてもらう機会は、まだそれほど多くはないのでしっかり勉強させてもらおう。
進んでいくとすぐにトロールを発見する事ができた。
その数は3匹。
「俺も手伝いましょうか?」
「大丈夫です。今回修太朗さんはお休みです」
「わかりました」
トロール3匹を2人で対するつもりのようだけど、港隊長がそう判断したのなら間違いはないだろう。
「我は稀代の英雄なり。我の振るう一太刀は空を割り、我が穿つその一撃は海を割る。英雄の鎧、英雄の盾、英雄の剣を我は欲する。我に英雄足り得るその力を! 悪たる敵を破るその力を! 超常の力を我に!『リミットブレイク』」
大仁田さんと湊隊長が同時に中級の身体強化魔法を発動する。
大仁田さんは戦斧、そして湊隊長は刀を手に、トロールへと駆けていく。
お知らせ
HJ文庫モブから始まる探索英雄譚が11/1発売です。
予約受付中なので是非!
bookwalkerはSS特典付きです。
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