世界防衛機構東京本部局長級会議
「いったいどうなってるんだ、複数のダンジョンが同時に溢れるなんて」
「服部本部長、日本だけではないようです。アメリカからも連絡が入っています」
「アメリカからもか。世界的にダンジョンのモンスターが活性化したのか?」
「これはまだ未確認ですが、モンスターが地上に溢れたダンジョンがあるとか」
「日本は大丈夫だったのか?」
「はい、日本は防衛機構の職員が踏ん張ってくれたようです」
「そうか、さすがだな。それはそうと、織部君、花岡修太朗という隊員を知っているか?」
「はい、もちろんです。私もあの配信は見させていただきました。花岡修太朗四十歳独身、彼女無しですよね」
「ああ、そうだ。彼がゴブリンキングを討伐したのは間違いないのだろう」
「はい、そのようです」
「あれは衝撃的だったな」
「はい」
「彼のプロフィールは把握しているのか?」
「はい、もちろんです。花岡修太朗四十歳、独身、彼女無し。ごく最近魔力に目覚めたようでジョブは大魔導士です」
「大魔導士⁉ あの伝説の⁉」
「はい、あの伝説の自爆ジョブです」
「う~む。他には?」
「静岡県浜松市にて花岡甚五と花岡敬子との間に生まれ一人っ子のようです。令和大学に進学と同時に東京に。卒業後はずっと豊和商事にて勤務していたようです。人柄もよく評判も良好です」
「なにも問題ないようだが、なぜ独身なんだ?」
「それについては全くの不明です。調査の限りでは過去に彼女がいた形跡すらありませんでした」
「もしかして、そっちの趣向の持ち主なのか?」
「いえ、そのような形跡も一切ありませんでした」
「ほう、不思議なこともあるものだな。謎多き男と言ったところか」
「はい」
「本部としても彼の今後の動きに注視しておこう。ホーリートゥエルブ達も気に留めているとのことだ。このような世相だ。世が英雄を求める事もあるかもしれん」
「はっ、そのようにいたします」
「では、本日の『世界防衛機構日本支部局長級会議』はこれにて終了とする。それにしても、花岡修太朗か。どうにも特異なプロフィールの人物だが、いつか会ってみたいものだな」
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今思えば、情報収集は社会人としての基本だった。だけど、帰宅後は、疲れからしっかりと睡眠をとっていたため、スマホを始めとする電子機器には一切触っていなかった。
おかげで俺は世間様の動向なんて一切キャッチすることなく、何事もなかったように翌日も防衛機構へと出社することになった。
ただ、いつもに比べて足取りがかなり重かったのも事実だ。
四十歳の肉体はゴブリンキングをはじめとしたモンスター達との戦いに悲鳴を上げ、重度の筋肉痛に苛まれていた。
「あ~~きついな。やっぱり運動不足だよな。結局昨日も走れなかったし。今日もがんばっていこう」
俺は、そうつぶやきながら“職場”の入り口のドアをくぐった。この時の俺は、まだこの先にどんな騒ぎが待ち受けているかなんて、マジで1ミリたりとも想像していなかった。
お知らせ
ほぼ1年ぶりの新作となった非モテ大魔導師ですが、これで1章完結となります
ここまで読んでくれてありがとうございます。
今後もできるだけ毎日2章を投稿できればと考えています。
続きが気になった方は是非ブックマークとスクロールして下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にお願いします
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