ホーリー12
エゴサ
せっかくの休みだったけど、ほとんど寝て過ごしてしまった。
だけど休日出勤したし、ダラダラしたのとはちょっと違う。
あの大きなゴブリンも、普通のゴブリンより強かったし自分で思っている以上に疲れてたのかもしれない。
『ギリスマティ』を連発したせいで筋肉が痛みを発してはいるけど、強烈な痛みが少しだけ心地いい。
ダンジョンに潜るようになって、長年の運動不足から解消されつつあるのかもしれない。
40歳だし、今までいろいろと年齢のせいにしてた部分がある。
だけど年齢よりも自分自身の問題だったのかもしれない。
このままダンジョンに潜ってれば、太る心配もなさそうだし健康にも良さそうだし、いいことずくめだ。
もしかしたらそのうち筋肉ムキムキになったりするかも。
それよりも大きな問題がある。
突然の休日出勤でバタバタしたのもあって完全に先送りというか、あり得ないことに失念していた。
あの日、何があったのか怖くて確認してなかったけど、それは40男としてあまりに無責任すぎた。
今日、防衛機構に出社したらしっかり凜に確認しよう。
確認して、俺に何が出来るのかしっかりと話し合いたい。
ただ、俺に出来る事なんかどれほどもないけど。
「ふ~~行くか」
覚悟を決め、身支度を済ませてからマンションを出て事務所へと向かう。
事務所へは歩きだ。
少し距離はあるけど十分歩ける距離なので歩いている。
同じマンションに他の隊員も何人か住んでるはずだけど、同じ時間に見かけたことはないので他の人は交通機関を利用しているのかもしれない。
筋肉痛をおして健康的に歩いて着いた事務所のドアをくぐる。
「おはようございます」
「あっ!」
「えっ?」
いつものように受付の女性に挨拶すると、俺を見て驚いたような表情で声をあげたのでこちらも思わず声をあげてしまった。
「あっ、すいません」
「いえ、私がなにか?」
「いえ、本当に何でもありません」
「そうですか」
俺自身、何かをした覚えもないし、まあ何でもないんだろう。
いつものように後藤隊のところへと向かうが、なにかいつもとは違う気がする。
ここに出社したのも、まだそう多くはないけど、空気感というかいつもよりもざわついた感がある。
なにかあったのか?
「湊隊長、おはようございます」
「修太朗さんおはようございます」
「湊隊長、昨日はお疲れさまでした」
「いえ疲れたのは、修太朗さんでしょう。それよりおめでとうございます」
ん? おめでとう? なんのことだ?
「え~っと……なんのことでしょうか?」
「あ~もしかして修太朗さんってあまりエゴサとかしない感じですか?」
「エゴサですか?」
「はい、エゴサです」
「いえ、したことないです」
「やっぱりそうですか」
「はい」
エゴサ? 芸能人とか有名人が自分の評判とかをネット検索するやつ?
なぜに俺がエゴサ?
俺を検索しても何もヒットしないだろうに。
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2章スタートです。
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