第62話 水はよく切れる
「じゃあ、水でいってみます。水面に住まう水精よ、僅かばかり我にその力を貸し、その羽のきらめきを示せ。我は願う全てを断つ水の刃を我の手に『ウォーターダガー』」
目の前に水の刃が現れる。ダガーという名前だけど使うのは初めてだし魔力を少し多めに込めたせいか結構長さがある。
水の刃に意識を向けるとアイアンゴーレムに向かって飛んで行き、そのまま断った。
おおっ、ズバッと両断する感じが結構かっこいいな。
両断されたゴーレムがズレて消え去った。
「修太朗さん⁉︎ ウォーターダガー⁉︎ ウォーターダガーでアイアンゴーレムが斬れましたよ⁉︎」
「え? 陸人さんにがそうしろって。何か不味かったですか? もしかして風の方がよかったですか?」
「いやいやいや、そうなんですけど。いやなんにも悪くないんですけど。修太朗さん最強っす。間違いないっす。もう最強っす。言うことないっす。なんかわかんないけどウォーターダガー最高っす」
なぜか陸人さんのキャラがお酒を飲んだ時のようになってるけど、飲んでる様子はないし大丈夫だよな。
「花岡さんですから」
相変わらず後藤隊長のコメントはよくわからないけど、ここはいい意味で捉えておこう。
“うわ、マジでやらかした”
“水でアイアンゴーレム斬っちゃった”
“いや、ウォーターカッターってダイヤも斬れるしウォーターダガーでもありえるのか”
“ありえるけど今までアイアンを水で斬ったやついたか?”
“もう、何でもあり。修太朗はなんでもある”
“ほんとにダイヤ斬ってみてくれんかな。修太朗ならいける”
“水聖だ。それにしても使ってるの初級ばっかだけどまさか初級しか使えないのか”
その後も隊のみんながいてくれたおかげで特に苦労することなく終えることが出来た。
一昨日と同じように事務所へと戻ってから報告書を書く。
「終わりました」
「お疲れさまでした」
「お先に失礼します」
隊長ともなると仕事量が多いのか湊隊長はまだ帰れないみたいだ。
「それじゃあ修太朗いくよ~」
「はい、行きましょう」
どうやら今日は大仁田さん達も用があるのか凛と2人だけらしい。
凜の行きつけという、職場の近くのおしゃれな居酒屋へ行くことになったけど、今どきの居酒屋さんのおしゃれ度にびっくりだ。
俺の知ってる居酒屋とは明らかに違う。
客層も異なっているようで、オッサンがほとんどいない。
「修太朗~、何飲む~わたしはカシスオレンジで~」
「それじゃあレモン酎ハイで」
「修太朗レモン酎ハイすきなの~?」
「はい、お酒は好きなんですけどそんなに強い方じゃないんですよ」
「そうなの~意外。家でもウィスキーのロックとか飲んでそう」
「あ~無理ですね。そんなの家に帰れなくなっちゃいますよ」
「じゃあ、飲んでみる?」
「聞いてましたか? 帰れなくなりますよ」
「だいじょ~ぶだいじょ~ぶ、帰れなくなったら私が介抱してあげるから~」
なんていい子なんだろう。
不純な考えだけど、こんな子に介抱される男ってうらやましい限りだ。
俺が学生のころ飲み過ぎたときは目が覚めたらだれもいなくなっていた。
寒空に誰の介抱もなく今考えても背筋が凍るような思い出だ。
「かんぱ~い」
凜と一緒に飲むお酒は本当に楽しく料理も3割増しでおいしく感じる。
家での一杯もいいけど、こうやって優しい先輩と飲むのは格別だ。
さっき、背すじが凍るような思い出に浸ったばかりなのにお酒がすすんでしまうのは仕方のないことだろう。
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