第60話 煮て焼いてみる

その場を後にし更に奥へと向かうとすぐに次のモンスターが現れた。


「え~っと、さっきのとはちょっと違いますよね」

「う~ん、ゴーレムはゴーレムだし修太朗には一緒みたいなもんだよ~」

「一緒みたいなものですか」


確かに姿かたちは、ストーンゴーレムによく似ている。

ただ一点違うのは、その表面が金属質に光を放っている。


「修太朗さん、あれはブロンズゴーレムっす」

「え~っとあれはどうしたら」

「修太朗さんの好きにしていいっす。煮るなり焼くなり」


煮るなり焼くなり?

ただの言い回しかもしれないけど、ブロンズゴーレムは燃えるってことか?

もし燃えるなら『ファイア』で燃やすのが一番いいのか?

よし、やってみるか。


「この現世に住まう精霊よ、我が盟約に従いここにその力を示せ。原初の炎よ舞い踊れ! 『ファイア』」


、なんとなくストーンゴーレムよりも堅そうに見えるので『ファイア』にいつもより少しだけ魔力を込めて放つ。

蒼白い炎がブロンズゴーレムを覆い、動きを阻む。

「ちょっと弱すぎたか」

炎でダメージが入っているのはわかるけど、消滅には至らない。

やはりゴーレムだけあって燃えにくいらしい。


「この現世に住まう精霊よ、我が盟約に従いここにその力を示せ。原初の炎よ舞い踊れ! 『ファイア』」


今度は先程より多めに魔力を込める。

こういう微調整が利くのも北王地さんとの訓練のたまものだけど、相手によってどのくらいの魔力を込めないといけないのかの判断はこれからの経験だな。

より蒼味を増し大きくなった炎が再びブロンズゴーレムを包み込む。


「ガ、ガ、ガ、ガ、ガ」


ゴーレムが異音を立てながらその場で崩れ落ちた。

どうやら今度は行けたみたいだ。

まあ、2発で倒せたし上出来だろう。


「修太朗さん、ゴーレムが、ブロンズゴーレムが燃え落ちたんですけど!」

「はい、大仁田さんもアドバイスのおかげです。ありがとうございます」

「え? アドバイス? あ~もしかして煮るなり焼くなり? まじっすか」


一度耐えられてしまったしゴーレムが炎に弱いのかどうかはよくわからなかったけど結果的に燃え尽きてしまったので倒し方としては間違ってなかった。


“ブロンズゴーレムって燃えるの???”

“ブロンズゴーレムって銅でできてんの? 銅が燃え尽きるって何度あるんだ”

“もう何でも燃やせばいいんじゃない?”

“いや、モンスターの耐性を考えたら普通の銅溶かす温度じゃ無理”

“わたしのハートも溶けちゃう”

“もしかして修太朗全属性これ⁉”

“炎帝追加で”

“『ファイア』って初級。普通上級魔法でもこうはならん”

“控えめに言って化け物”

“修太朗様最高。蒼い炎もステキ”

“同接220万”


「修太朗~今日も飲みにいこ~よ。修太朗のおかげで来月のお給料たのしみ~。お礼におごってあげる~」

「はい、それは是非。でもお金は自分で出しますから」


また俺を誘ってくれるとは凜も本当に面倒見がよくていい人だな。

俺のおかげとか言ってるけど俺がやらなくても誰かがやってたはずなので、それが凜のやさしさからくる発言だとわかる。

俺が凜くらいの時は自分の事で精一杯だった気がするのでこんなオッサンにまで気を使ってくれる凜には尊敬しかない。

さすがは隊のアイドルだ。


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