第59話 200万

さっきは『アースフィスト』で問題なく倒せたけど『アースフィスト』は基本単発。複数の敵を倒すにはどちらかというと不向き。

連発するのに向いてるのは『アイスバレット』だ。

問題は氷で岩を砕けるのかという点だけど、さっきの感じならなんとなくいけそうなんだよな~。


「湊隊長、『アイスバレット』でも大丈夫でしょうか」

「はい修太朗さんなら大丈夫だと思いますよ」


湊隊長のお墨付きが出たし間違いないな。

やっぱりダンジョンでは常識に囚われてはいけない。


「よし、次は氷系魔法の『アイスバレット』だ。それじゃあいきます。大気に宿る悠久の精霊よ、その零下の息吹を放て。我が求めに応えて、ここにその姿を現せ! 『アイスバレット』」


氷の弾丸がストーンゴーレムの胸部をえぐる。

いける。

魔法でできた氷はストーンゴーレムよりも硬い。

俺は氷の弾丸を続けざまに発射して2体のゴーレムを完全に黙らせて消滅させることに成功した。

湊隊長の事は全面的に信じてはいるけど、念のために少しだけ送り込む魔力の量を増やしておいた。

そんな必要はなかったかもしれないけど撃破できたし問題ない。


「た、隊長今の見ました? 『アイスバレット』すよ。氷でなんで砕けるんですか?」

「修太朗さんですから」

「それはそうなんですけど氷が岩を砕くって絶対おかしいですよ」

「そうですね。でもそれが出来ちゃうのが修太朗さんですから」


“ちょっとまて~い、いまのなんだ?”

“俺初めて見たかも。氷系の魔法でゴーレム倒してる人”

“意味が分からん”

“氷って水でできてる”

“ストーンゴーレム3体が、雑魚扱い”

“いや、ストーンゴーレムより柔らかいソフトゴーレムだったんじゃ”

“修太朗最高”

“これ鉄でも氷でいけるんじゃ”

“まさか……あるな”

“修太朗様♡”

“やばい、同接199万”


「三階層はゴーレムの階層なんですか?」

「そうで~す。ゴーレムが多いんで~す。私は苦手~」


そういえば、凜は風魔法を使っていた。もしかしたらゴーレムには風魔法が効きにくいのかもしれない。


「それより修太朗さん、アクセス数がやばいです。完全に後藤隊の新記録をたたき出してます」

「そうなんですか?」

「そうなんです。いろいろとすごいんですけど、お手当もすごいことになりそうです」

「そうなんですか」

「そうなんです!」


普段物静かな印象の桜花さんのテンションが上がっている。

確かにアクセス数によってインセンティブがもらえるとは聞いてたけど、そんなにくれるのか?

もしかして日当で1万円とかもらえたりするのか?

いや、給与ももらってるし、ドロップの分配まであるのにそれはないか。

だけど桜花さんのこの感じそのくらいもらえててもおかしくないかも。

そんなにもらえても使い道もないけど、いつものレモン酎ハイを極みプレミアムレモン酎ハイにしてみるくらいか。

あれ、高いから特別な時しか飲んだことないけどうまいんだよな。


「あ……隊長200万いきました」

「それはすごいですね。まあ修太朗さんですから」


湊隊長の「修太朗さんですから」もあいかわらず全く意味不明だ。

それに同接200万と俺は全く関係ないと思うけど。

もしかしたら、新人が入ったという物珍しさで少しは貢献できているかもしれないけど、やっぱり後藤隊の人気はすごいんだな。

とにかく同接200万もあるならここで頑張らないと。

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