第45話 自己紹介1
小谷さんは、時々カメラに向かって話しかけながら進んでいる。
いかにもプロという感じだし、慣れているとはいえダンジョンでその様にふるまえることに尊敬の念をおぼえる。
小谷さんだけじゃなく、他の二人もいつも通りでリラックスして見えるので、緊張しているのは俺一人だな。
それにしてもこの支給品の剣すごかったな。
ゴブリンの肉と骨をあっさりと切断し、刃こぼれ等の損傷も皆無に見える。
所謂業物というか最新鋭の技術の粋を集めて作られてるのかもしれない。
さすがは防衛隊員の装備だ。
“剣聖だけに武器は聖剣なのか”
“スパっていうかまさに紙斬る感じ”
“どうみても標準装備”
“武器強化魔法じゃね?”
“あれ標準装備の切れ味じゃない”
“イケオジは武器までいけてる”
“イケオジソード”
“やば、わたしもうファンになっちゃった”
“お名前プリーズ”
“さっき「はなおか」って聞こえた”
“お名前もステキ”
「花岡さん、せっかくなのでこのあたりで自己紹介をお願いしてもいいでしょうか」
「え? 自己紹介ですか? こんなところでですか?」
「はい、視聴者の方もだいぶ気になってるようですし」
視聴者が気になってる? それはないと思うけど、俺もここに入隊させてもらった以上は給与をいただいているプロだ。自分に求められた役目は果たさないといけない。
大丈夫だ。
カメラに向かって話すだけだ。
「あ、あ~皆さんこんにちは。この度後藤小隊へと配属になりました花岡修太朗といいます。よろしくお願いいたします。新人ですが年は四十となります。隊の方々に迷惑をかけないよう精一杯頑張りたいと思いますのでよろしくお願いいたします」
“おおっ、桜花ちゃんナイス”
“オッサンほんとに新人みたいだな”
“四十で新人とかあるんだ。俺も可能性あるのかな”
“いや、礼儀正しいな”
“修太朗さま”
“すてき”
「花岡さん、自己紹介が終わったばかりで申し訳ありませんがモンスターです」
「あれって」
「はい、スケルトンですね」
「あれがスケルトンですか」
前方に現れたモンスターはいわゆる骸骨。人体模型の骨格のような姿の骨が歩いている。
「花岡さん、よかったら今度もやってみませんか?」
「俺がですか?」
「はい、視聴者の皆さんも花岡さんの雄姿を見たいでしょうし」
「いや、それはないと思うんですが」
後藤隊長も冗談が好きなんだな。
雄姿ってそんないいもんじゃないし、視聴者の人もそんなの期待してるはずもない。
スケルトンもだんだん近づいてきてるしあまり時間はない。
「剣で倒せばいいんでしょうか?」
「スケルトンは骨ですから、物理攻撃よりも魔法のほうがいいと思います。炎系の魔法が効くので例外的にですけど、使用してみるのをお勧めします」
「そうなんですね。わかりましたアドバイスありがとうございます。それでは早速いってみたいと思います。この現世に住まう精霊よ、我が盟約に従いここにその力を示せ。原初の炎よ舞い踊れ! 『ファイア』」
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