第46話 炎神?

あっ。炎は無事に発現したけど、色が蒼い。調整したつもりで魔力を込めすぎてしまったらしい。やはり練習とは勝手が違う。

飛んで行った蒼い炎がスケルトンに着弾すると一気に燃え上がりそのまま燃え尽きた。


「もう一匹も燃やします。この現世に住まう精霊よ、我が盟約に従いここにその力を示せ。原初の炎よ舞い踊れ! 『ファイア』」


よかった、今度は込める魔力をうまく調整できたみたいでオレンジ色の火球がスケルトンへと着弾し、一瞬で燃え尽きた。

後藤隊長の言ったとおりだ。

スケルトンは本当に炎に弱いらしく一瞬で燃え尽きてしまった。

これだけ弱点がはっきりしてるんだったらスケルトンはそこまで怖くないな。

あぁ、だから俺に回してくれたのか。

後藤隊長って本当にいい上司だ。

新人の俺でも苦労することなく経験が積めるようにうまく誘ってくれているんだ。

だけど、調子に乗って火事にならないようにだけは要注意だ。


“いまのはなんだ?”

“見間違いか? 一発目の炎が蒼かったような”

“威力バグってね? スケルトンが一瞬で燃え尽きた”

“CGじゃないよね。後藤小隊ってそんなんじゃないよね”

“『ファイア』だよね? 初級魔法だよね????”

“花岡ヤベエ”

“修太朗さん、私のハートに火をつけたわ”

“イケオジ本当にナニモンだ”

“炎神?”


「ええっと、こんな感じでしたがどうでしょうか?」

「花岡さん、今度はばっちり撮れました」

「そうですか、それはよかったです」

「花岡さ~ん。スケルトンどうでした~?」

「スケルトンですか? 後藤隊長のおかげで苦労せずに倒すことが出来ました」

「花岡さ~ん、すごかったです~わたし花岡さんが他の魔法を使ってるところも見てみたいな~」


小谷さん、やっぱり優しいな。スケルトンなんて倒したからってすごいはずないのに、これだけ俺の事を持ち上げてくれるなんて。

こんなに隊の人たちがサポートしてくれるんだから、初日だからなんて言ってられない。

少しでもみんなの役に立てるように頑張らなきゃいけない。


「隊長、さっきのなんすか」

「ただの『ファイア』じゃないでしょうか」

「隊長……」

「わかってますよ。ただのじゃないですね。威力なら中級の『ファイアブリッツ』くらいはありそうですね。まあ『ファイアブリッツ』で蒼い炎が出たのは聞いたことないですけど」

「蒼い炎ってことは温度がめちゃくちゃ高いってことっすよね」

「そうでしょうね」

「それって超級魔法の『アークファイア』とかと一緒なんじゃ」

「そうかもしれませんね」

「マジすか」


結局、この日はあと2回ほど俺が戦い、あとは他の方たちの戦いを見させてもらった。

やはりみんな強いし、かっこいい。

配信で人気なのもうなずける。

みんな俺と違って絵になる。

中でも後藤隊長の戦いはすごかった。

レイピアのような細剣を操り、魔法の発動スピードと着弾迄のスピードがけた違いに早かった。

やっぱりトップチームの隊長となると全然違う。

俺が初日だったこともあり、一階層だけで切り上げることになった。次からは足を引っ張らないように頑張りたい。


ダンジョンを切り上げてから聞いたことだけど後藤隊長のジョブはウイッチクィーンだそうだ。

聞いただけでもすごいジョブなのが分かる。

何しろウィッチのクィーンだ。

後藤隊長の風貌と重なり本当に女王様に見えてくるから不思議なものだ。

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