第42話 デビュー
速っ。
常人ではあり得ないほどのスピードでゴブリンへと迫り手にもつ武器を一閃する。
戦斧を軽々と振り抜き、一番手前にいたゴブリンは反撃する間もなくあっという間に斬り伏せられ消滅した。
「ゴブリンも消えるんだな」
卒業試験の時のホーンラビットやトラモンも消滅したけど、人型のゴブリンも同じくその場から消えてなくなった。
学校の座学では学んでいた。
モンスターはダンジョンで倒した場合はどういう理屈かわからないけどその場で消滅する。そしてそれは地上に出てきたモンスターには当てはまらない。
なぜか地上で倒したモンスターがダンジョンのように消えてなくなることはない。
まるでゲームのような現象だが、これもある意味神の御業なのかもしれない。
「大気に宿る悠久の精霊よ、その零下の息吹を放て。我が求めに応えて、ここにその姿を現せ! 『アイスバレット』」
後藤隊長の放った氷の弾丸がゴブリンの頭を吹き飛ばす。
“かなでちゃ~ん!”
“隊長~かっこいいい“
“初級にして既に至高”
“みんないつもより気合マックス”
“いつ見ても惚れ惚れする”
今のは俺も使ったことがある『アイスバレット』だ。
流石は後藤隊長、流麗な詠唱からズバンと命中しゴブリンを消滅に追いやった。
「じゃあわたしもいっちゃうよ~」
“おおっ、りんちゃん」
“りんかちゃんかわいい”
“風姫~”
「その翼は敵を裂き、その吐息は空を穿つ。幾千の刃を纏いしその気高き咆哮を敵に示せ『ウィンドスピア』」
小谷さんの放った風の刃がゴブリンを切り裂き消滅させる。
初級の風魔法だけど、こちらも流石という他ない。
言っていたように陣風の短刀によるブーストも効いているのかもしれないけど、その可愛い外見とは全く異なる彼女本来の強さが見て取れるような気がする。
あっという間に3匹のゴブリンが消滅しその後も次々に倒し程なくしてゴブリンの一団が掃滅した。
最初は、みんなの動きを見るように言われていたので今回俺の出番はなかったけど、仮に出番があったとしても役に立てたかどうかはかなり怪しい。
それほどに、動く相手と自身も動きながら戦うことが難しいと感じた。
3人の動きはスムーズで魔法の発動も流麗だった。
3人の動きに自分を当てはめてみると同様に動ける気は全くしない。
ゴブリンは低級なモンスターのはずだけどそれを差し引いても、この隊がトップチームというのは納得だ。
“やっぱ後藤隊のはストレスフリーで見れるわ”
“なんかチラッと映ったけど知らない男がいる”
“はっきりと見えなかったけど結構年くってた気が”
“いや、イケオジっぽかった”
“監査員かなんかか?”
“もしかして木本のかわりじゃね”
“あぁ……”
“あれは残念だった”
「おつかれ~。どう? どうだった?」
「はい、皆さんすごいです。勉強になりました」
「ふっふっふ~。じゃあ次は花岡さんもいってみる~?」
「はい、がんばります」
「花岡さん、最初ですし無理しなくて大丈夫ですよ。私たちがフォローしますから」
「はい、ありがとうございます」
“やっぱ新人か”
“新人にしてはだいぶ年上じゃね”
“いや、かなり礼儀正しい感じだしスマートっぽい”
“インテリイケオジ”
“なんとなく執事っぽい”
“執事カフェにいたら人気でそう”
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