第32話 3枚の盾
「試験官さん、申し訳ありませんが攻撃はお任せします」
「田淵です」
「田淵さん、いっちょ頑張ってみますか」
「花岡さん、かっこいいですね。ヒーローみたいですよ。実は、皆さんに逃げろとは言ってみたものの一人残ることに少々ビビってたんです」
「それは、よかったです。俺は今でもかなりビビってますけど」
「はは、四十歳のルーキーですもんね」
「ええ、脚ががくがくしてますよ。まだ防衛機構に入隊もしてないですから、こんなとこで死んでられないです。ここを切り抜けたら防衛機構に入ってちょっとはモテてみたいです」
「いや~花岡さんが防衛機構に入ったら女の子が放っておきませんよ」
何度かモンスターが陣内くん達を狙い『マジックシールド』に攻撃をかけるが、なんとか逃げ切ることができたみたいだ。
「まあ、ないと思いますけど、そんな夢見て頑張るのもアリですかね」
「とにかく生き残りましょう」
「それじゃあ、やりますか」
「花岡さん、帰ったら一杯どうですか?」
「いいですね~。是非」
厳しい状況だからこそ、こんな会話が心の支えとなる。
「この盾は、すべてを護る絶対の擁壁。あらゆる敵を弾き、我に光の加護を授けよ。我は拒絶し我は決意す『マジックシールド』」
魔力マシマシで魔法の盾を前面へと展開する。
モンスターの一匹が『マジックシールド』へと突進してくるが、問題なく弾き返す。
「いや、花岡さんの『マジックシールド』やっぱりおかしいです。今はそれが心強いですが」
別におかしくはないと思うけど、トラモンにも魔法の盾は十分通用している。
ただ、ホーンラビットと比べてもトラモンの動きは素早い。
「悠久の大地に座し全ての礎たるその力を貸したまえ。その強固な意志をここに示せ『アースフィスト』」
弾かれたモンスターを田淵さんの魔法が襲いかかる。
「ギャン」
確実にダメージを与えてはいるが消失には至らない。
一発ではダメか。
やはり耐久力もホーンラビットより上だ。
後方へと下がり、『マジックシールド』を避け3匹がそれぞれ違う方向から回り込もうとしてくる。
速い!
広く展開させても一枚じゃ無理だ。
一枚で無理なら複数展開させるだけだ。
「この盾は、すべてを護る絶対の擁壁。あらゆる敵を弾き、我に光の加護を授けよ。我は拒絶し我は決意す『マジックシールド』」
矢継ぎ早に詠唱し、二枚目の『マジックシールド』を展開する。
これで二方向はどうにかなる。
もう一方は田淵さんが攻撃魔法でカバーしてくれているので、その間に三枚目の魔法の盾を発動する。
これで三枚。
3匹の動きにも対応できる。
『マジックシールド』の操作に少しばかり神経を使う。
こんな風に複数展開させるのは初めてだし、こうやって敵に合わせて細かく動かすのも初めてだ。
だけど、集中すればいける。
サラリーマン時代の納期ギリギリの時のあの集中力をもってすれば、このくらいなんでもない。
「ははっ、三枚ですか。本当に花岡さんは……これは、本当に一杯おごらないといけないかもしれませんね」
何度か、魔法の盾にモンスターが攻撃してくるが今のところ破られる気配はない。
さすがは魔法の盾。
凶悪なモンスターの攻撃であっても、問題なく弾いてくれる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【作品のフォロー】【評価☆☆☆】で応援してもらえると嬉しいです!
※作品画面の下にある『おすすめレビュー』の『☆で称える』でお願いします
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます