木々から桜が散り始めた頃、僕はじんわりとした汗を滲ませていた。まだ着慣れていない高校の紺色のブレザーの制服の襟元を両手で整え、初めて付けた赤色のネクタイの向きの向きを確かめる。


 周りでは様々な部活動がカラフルなチラシで勧誘を行っている。

 運動部に力を入れている高校であるため、スポーツ推薦で入学する生徒も少なくないのだが、それでも部活ごとにでも力を入れているのだろう。


 僕はサッカー部、野球部、バスケ部、バレー部、テニス部などの全てチラシを受け取りながら、人混みを切り裂いていく。

 僕はずっと前から入る部活を決めている。中学校の時と同じように一週間くらい仮入部期間があるらしいが、その仮入部期間もずっと一つの部活に参加するつもりだ。


 僕は今まで受け取った勧誘のチラシを学校指定のバッグの中に詰め込んだ。そして、僕は陸上部と書かれたチラシを持った人たちの場所まで向かった。


「お、君。陸上部に入る?」


「はい。入ります」


 僕は二つ返事で答えた。

 その言葉を聞いた陸上部の先輩は満面の笑みを浮かべた。

この高校を受験する前から僕はこの陸上部に入部することを決めている。

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