第4話誤解
さやかは中学時代の親友のしゅん君と喫茶店に行った。彼は既婚者で、妻子がある。何かと相談したら的確な答えが返ってくるので期待していた。
「ゴメンね、しゅん君。忙しいのに」
「良いよ、良いよ。今日は休みだから。電話でも聴いたけど、旦那さんの浮気が怪しいってどういう事?」
しゅんは、かき氷を食べながら話す。
「月水金は夜遅くて、最近、香水の匂いがするの。あの人が香水なんて考えられないの」
「怪しいね」
「でしょ?で、帰ってきたら以前は夫婦の会話もあったけど、最近はお風呂入って、ご飯食べたら直ぐに寝ちゃうの」
しゅん君は、アイスクリーム頭痛に襲われ、グラスの水を飲んだ。
「探偵、雇ってみたら?」
「浮気調査だよね。高いらしいの」
「もう、動いてるんだ」
「もちろん。ねぇねぇ、『離婚シミュレーター』って知ってる?」
「知らないよ」
さやかはアイスティーをストローで吸うと、
「離婚を機械で体験出来るらしいの。この前、旦那と離婚シミュレーターを受けたけど、機械の不具合で失敗したの。もう一度、受けてみようかな。って思ってる」
その時だ。
喫茶店に若い女の子2人を連れて、旦那の渡が現れた。
「さやか……、何してんだ?」
「こ、こちら、中学生の時の同級生のしゅん君」
「初めまして。坪井俊です」
「夫の柴田渡です」
「さやか、お前は昼間は遊んでんのか?」
「違うよ。色々あって……その女性は?」
「オレの後輩。外回りして、ここで休憩なんだ。今日は帰り遅くなる。メシはいいから」
「……うん、分かった」
渡と後輩達は奥のテーブルに向かった。
「さやちゃん、誤解されたかな?」
「何も悪い事してないんだから、大丈夫。夜、心配だけど」
「今夜も遅いらしいね」
「近所からは、おしどり夫婦って言われてたのに最近はダメ。離婚シミュレーター使う前にダメになりそう」
「さやちゃん、旦那さんを信じようよ。口紅だって、1回だけでしょ?ホントに満員電車だったからかも知れないじゃん」
「……うん。そうだね。もちょっと我慢する」
その晩、1人で留守番していた。夜の10時くらいに自宅の電話が鳴る。
さやかが知らない会社の名前を言われ戸惑う。
さやかは不審に思いながらも話しを聴いた。
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