第2話シミュレーションの失敗

2人は離婚シミュレーターで擬似離婚を体験するつもりだったが、機械の不具合でシミュレーションは中止となった。

2人は図書券をもらい、自宅へ戻って行った。


歩きながら、

「なぁ、さやか。離婚なんてバカバカしいけど、そんなに体験したかったの?」

と、渡はタバコを吸いながら話した。

「だって、何が起きるかわかんないし」

「じゃ、俺ら離婚する可能性があるって言うのか?」

「……そういう訳じゃないけど」

「変な事、考えるなよっ!」

「うん。今夜はシチュー」

「やった。ご飯に掛けて食べる」

「うん、良いよ」


2人は帰宅した。

暫く平穏な生活が続いた。

ある日、洗濯をしようと渡のワイシャツを手にすると赤いシミが。

……口紅だ。

最近、夫は香水の良い匂いがする。

さやかはまさかと思い、洗濯を続けた。

そして、夜、缶ビールを飲みながら野球観戦している夫に聴いてみた。

「渡さん、ちょっと聴きたい事が」

「何?」

「最近、香水使ってる?」

「香水?……別に」

「あなたのシャツ、香水の匂いがするの。しかも、今日は口紅が付いてたの。どういう意味?」

「満員電車だから、しょうがないだろ?」

「……」

「お前、オレを疑ってるのか?」

「ただ、確認しただけ」


さやかは、勘が働いた。

この人、浮気している。と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る