離婚シミュレーター

羽弦トリス

第1話おしどり夫婦

柴田渡とさやかの夫婦は、近所でも評判のおしどり夫婦。

子供は男の子が1人。

結婚生活19年目。

息子が就職して、一段落する。

2人は、街へ買い物に出かけた。

喫茶店に寄り、コーヒーを飲んだ。

「ねぇ〜、渡さん」

「どうした?さやか」

「このチラシが気になって……」

と、さやかはポケットティッシュを見せた。ポケットティッシュの裏に紙が入っていた。

『あなたも、離婚シミュレーションをしてみませんか?今なら、キャンペーンで無料です』

の文字が書いてあった。

「くだらねぇ〜。誰がそんなんシミュレーションするもんか?」

と、渡はアイスコーヒーをストローで吸う。

「わたし、一度は受けても良いと思うの。この先、分からないし。ねぇ、離婚シミュレーションを受けてみようよ!」

さやかの目は好奇に輝いていた。

2人の愛情は完璧で、離婚するハズはないのだが、面白いゲーム感覚で、離婚シミュレーターと言う機械で離婚のシミュレーションを体験する。これは、渡にはアホくさい話しだが、社会勉強の為に経験しても良いだろうと考えた。


早速、ポケットティッシュのチラシの電話番号に掛けてみた。

本日の午後3時は空いているらしく、2人は地図の場所まで移動した。

そこには、泣いている夫婦や、ケンカしている夫婦がいた。

2人は一抹の不安を感じた。

受け付けの女性に渡が声を掛けた。

「あの〜、離婚シミュレーターの実験を受けたいのですが……」

女性は、問診票みたいな紙を2人に各々手渡しした。

そこには、年齢、出身地、仕事、食べ物の好き嫌い、結婚生活での質問事項が書いてあった。

全てを記入すると、奥の部屋に案内された。

各々ベッドに横たわり、頭に変なヘルメット状なモノを被せられ、色んな配線を頭に繋げられた。

そう、これが、離婚シミュレーターだったのだ。

医師が現れ、2人に注射した。

間もなく2人は、眠ってしまった。脳内では、離婚シミュレーションが始まっていたのだ。

さて、この2人の未来は?

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