最終話:著作権ってドールに当てはまるの?

その夜、太陽君とドールは、太陽君の部屋の窓越しに、今頃ドールのお父さんが

帰郷中であるだろう星空を、宇宙を見ていた。


「ドールがいなくなるんじゃないかってちょっと心配した」


「大丈夫だよ、ずっとここにいるよ」


「でも、ドールがいつか自分の星に帰る時が来るんじゃないかって、 そう思うと

不安になるかな・・・」


「帰らない・・・一生・・・」

「私は、少しづつ進化してるからね」

「そのうち有機生命体には戻らないかも・・・」


「そうなんだ、分からないけどドールは本当の人間になろうとしてるのかな?」


「太陽君、私がいて迷惑じゃない?」

「私、いろいろ問題起こすでしょ・・・」


「何、言ってんの・・・迷惑だなんて、ぜんぜん思ってないよ」


「よかった」

「私が太陽君のそばいてあげるからね、彼女なんか作ったらカエルに変えちゃうよ」


「彼女なんかつくらないよ・・・ドールがいてくれるからね」


ドールが言ったことで太陽君は選取よりどりみどりのことを思い出した。

たぶんドールにカエルに変えられるのは選取みどりだろうなって太陽君は

思った。

選取みどりの出方次第では、そうなる可能性もなきにしもあらずだった。


「太陽君のこと愛してるよ」

「太陽君、日向さん 朝陽さんの順で・・・みんな愛してる」


「俺もドールを愛してる・・・」

「で・・・あ、あのさ・・・もうさ、お互い・・・いいんじゃないのかな?」


「いいって、何がいいの?」

「この間、買ってあげた本、読んだんだよね・・・セックスの本」


「うん、読んだよ」


「セックスってどういうことするか、あの本で分かった?」

「分かったよ・・・」


「じゃ〜いいよね?」


「ダ〜メ・・・・太陽君・・・私は違うけど太陽君未成年なんだよ」


「なにそれ?・・・今更?」

「セックスさせてもらえないってこと?」


「あのさ・・・俺くらいの歳の男って頭の中はエロで渦巻いてるの」

「ドールにセックスってなに?って聞かれた時、俺ってずいぶん綺麗ごと言った

けど・・・本当はまじでドールとセックスしたかったんだよ」


「だけどドールがなにも知らないって思ったから・・・あの時は我慢したけど

今は大丈夫と思って・・・」

「なのになんで今更、未成年を持ち出してくるんだよ?」


「ふふ・・・冗談だよ・・・未成年って言っても太陽君がセックスをしちゃ

いけないって歳じゃないし法律にも触れないってセックスの本に書いてあったよ」


「え?なに?冗談なの?」


「いざとなるとちょっと怖いかなって思って・・・」

「でもいい・・・太陽君、私とまじな楽しいことしよう」


ドールは発情期でもないのに猫のグルーミングみたいに太陽君にべったり

くっついてきた。

太陽君はドールの髪を撫でながら彼女を強く抱きしめて、そしてあどけない

顔のほっぺとクチビルにキスした。


「不思議だよね、この宇宙には千億以上もの銀河があって、そして俺たちは

きっと千億分の一の確率で、巡り会ったんだよ」

「これって奇跡だよ」


「奇跡?・・・」


「そう・・・奇跡だよ」


「ドールと俺のの出会いは奇跡・・・出会う確率は千億分の一」


太陽君はそう言った。


「だけど、いつだって、どの時代だって、どこにいたって太陽君と私は

きっと巡り会うようにできてるの・・・私そう思うよ」


「そうかもね・・・」

「でも、それだってきっと奇跡だよ・・・」


(それよりいつか、君がほんとに自分の星に帰っていく時が来るかもしれない・・・だから、だからさ今を大切にしてたいんだ・・・先のことは今は考えないように

するよ)


ドールといる、この時間がずっと続いてくれることを太陽君は願った。


だけど、太陽君とドールのトラブルはこのままじゃ終わらない。


それからしばらくして誰もがドールの存在を忘れかけていた頃。

マスコミやテレビが、またもや騒ぎ出した。

ドールの存在はアイドル育成シミュレーションのパムの著作権侵害じゃないかと、

どこかの週刊誌が書いたからだ。


今回はどうやらヨコチは関与してなかったみたいだった。

しかも「ドールを守る会」も知らない間に解散していた。

そんなもんだ、ヨコチンのすることは・・・。


さて、著作権の問題だけど、そんなことまで週刊誌のネタにしなくていいのに

・・・めちゃくちゃな話だ・・・。


ドールが著作権侵害してるなら普通の人間がやってるコスプレだって同じこと

じゃないのかよって太陽君は思った。

コスプレは立派な日本の文化だよ。

それがいけないって言うなら、こんなにつまんない世の中ってないよなって

太陽くんは思った。


その件でテレビや週刊誌とかが家にたびたびやって来るようになったが、

太陽くんは聞く耳もたない勢いで、全員追い返そうとした。


そしたらドールが言った。


「みんなカエルに変えちゃえば、来なくなるよ太陽君」


「そうだな、変えちゃえ、変えちゃえ」


太陽くんは冗談で言ったつもりだった。


でも報道陣や週刊誌の記者たちはみんなドールに触られて、カエルに変えられて

しまった。

家の庭や家の壁にカエルが何匹もへばりついてゲロゲロ鳴いていた。

突撃インタビューなんかするやつはゴキブリに変えられた。


気の毒なかぎりだ。


でも、ドールはワレ関せずで知らんぷりをしていた。

心配になった太陽君はドールに元にもどしたほうがいいんじゃないか?って言ったら


「大丈夫だよ・・・みんな一週間もすれば元にもどるから」


ホッと胸をなでおろす太陽君だった。


まあ、今のところはコスプレは著作権法にひっかからないようなので今後どうなる

かは分からないが日の本家を訪れるマスコミは全員カエルに変えられるだけの話

だった。


あ、そうそう太陽君とドール、どさくさに紛れてめでたく結ばれたみたいですね。

ちなみにドールのアソコは、めちゃすごかったみたいです。

どのくらいの名器だったかは太陽君しか知らないことですけど太陽君はがドールとの

セックスが依存症になるくらいだから、よほどいいんでしょうね。


それと、あとひとつ・・・選取 みどりとの件はまだ終わってない。


END.



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銀河の果てからこんにちは。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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