第31話:ドールの決心。
「私を困らせんでくれんか」
「星に帰ってしまえば過去のことなど、すぐ忘れてしまうさ」
「でも・・・」
せっかく自分の気持ちを太陽君に告白できたのに・・・ドールはどうしても
太陽君から離れたくなかった。
「要するに、彼女は家には帰りたくないんだ・・・的な・・・」
「だから、もう結論でてるじゃないか」
ヨコチは綺麗にまとめようとした。
でも、そんなに思い通りにはいかないもんだ、特に親子関係は。
一難去ってまた一難去って、さらにまた一難。
小さいのから大きな出来事まで二度も三度も続いて太陽君はめちゃ憂鬱に
なりそうになった。
「すいません、親子の話に水を差すようですが・・・」
「お父さん、本人は帰りたくなって言ってます」
「そんなに、そのいいなずけって大事なんでしょうか?」
「ドールの気持ちは?」
「そうだそうだ」またヨコチだった。
「それは、しきたりであるし、もう決まっていること・・・だいいちドールを
連れて帰りませんと家族や親戚にお相手にも私の顔が立ちません 」
「それって日本の古いしきたりと同じじゃないですか」
「今時そんな、しきたりとか、ならわしとか親の体裁とかそう言うことで、
娘さんの意思を踏みにじってもいいんでしょうか?」
「ドールが望む幸せを考えてあげるのが親の役目じゃないんでしょうか?」
「それでもドールの人生を無視するんですか?」
「娘の気持ちより親の面子を優先するんですか?」
太陽君はドールを帰したくなくて必死の剣幕だった。
「まだお若いから、そういう複雑なことはお分かりにはならんのですよ 」
「いいえ、分かってます」
「だいいちドールが・・・娘さんが帰りたくないって言ってるのに無理やりは
ないでしょう 」
「親なら、本人の意思を尊重してあげるのが本当の親ですよ 」
「娘の気持ちも分からない人は、親じゃないです」
「そうだそうだ」・・・ヨコチ・・・。
「太陽・・・言い過ぎよ」
太陽君の勢いに押されて少し心配になった日向さん。
「もういい・・・もういいよ」
ドールは諦めたように言った。
「もういいって、ドールはいいの?・・・帰るの?パパの言いなりになって
それでいいの?」
「私、帰らない・・・どうしても連れ戻すって言うなら・・・」
ドールははいきなり、光の玉、有機体に戻ると少しづつ光り始めた。
「なに?、どうした?・・・ドール」
「何をしようって言うんだ」
「ま、まさか・・・」
ノルのパパは慌てた。
「そんなことまでしなくても・・・」
なにかが起こる前兆だってことがヨコチでも分かったんだろう。
それをいち早く感じたヨコチは太陽君の後ろに隠れた。
「お父さん、どうなってるんですか、ドールはなにをしようって・・・」
光の玉になったドールは眩しいくらい光ってどんどん大きくなっていった。
つづく。
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