第30話:ドールの家出。

太陽君が、あわてて家に帰ってくると知らないおじさんとドールが ソファに

座って何か話をしていた。

太陽君の後ろからヨコチ君も好奇心旺盛におじさんとドールを覗いた。


「あ、太陽ごめんね、なんだか一大事みたいだったから帰ってきてもらったの」


太陽君は分かったって言うように日向さんに無言で返事した。

すると知らないおじさんが


「帰ってきなさい」


ってドールに言ってるのが聞こえた。


「やだ」


「聞き分けのない」

「私がわざわざ、おまえをここまで迎えに来たんだ」


「あの・・・すいません、お取り込み中のところ・・・」


太陽君はおじさんとドールとの間に割って入った。


「あの、帰ってきなさいって、なんですか?」

「失礼ですけど、あなたはどなたなんですか?」


するとそばで見ていた日向さんが


「ノルちゃんのパパだって」


「パパ?・・・まじで?」


太陽君とヨコチ君は顔を見合わせた。


「パパって顔じゃないぞ・・・誘拐犯的な・・・」


ヨコチはなにを持ってしてドールのパパを誘拐犯だと思ったのか・・・

その根拠はたぶんどこにもなっかっただろう。

ただの思いつきで、適当なことを言うんだヨコチは。

そう言う無責任なことを平気で言うんだヨコチは。


「どうも、これはご子息様であらせられますか・・・」

「そちらはお友達ですかな」

「娘がご面倒をおかけしたようで・・・」

「私はドールの父で、遠い星から遠路はるばる家出した娘を迎えに来たのです 」


「家出って?・・・」

「そんなこと初耳だけど・・・ドール?」


「太陽君には全部話してないことがあるの・・・」


なんでも、ドールは自分の星に人間で言うとところの決まった「いいなずけ」

って有機体さんがいるらしく、でもその人?じゃなくて有機体? がノルは

まじで嫌いで、、いっしょにがなりたくなくて思い余って家出してきたって

ことらしい。


「そう言うことなので、娘は連れて帰ります」


「それよりお父さん、なんでドールがここにいることが分かったんですか?」


「ノルの存在は銀河中に知れ渡っておりますよ」


「あ〜誰かネットやマスコミにチクったやつがいるんだな」


ヨコチが言った。


(そもそもこんな大騒ぎを引き起こした張本人はヨコチ、おまえだろ)


って太陽君は思った。


「話は分かりましたけど・・・肝心のドールは?ドールの気持ちはどうなんですか?」

「ドールは帰りたいの?・・・大事なのはドールの気持ちだよ」


「そうだよ、本人の気持ちが一番だもんな・・・」


心のないヨコチの合いの手だった。


「私はここにいたい・・・せっかく朝陽さんや日向さん、それに太陽君と

めぐり会えたんだもん・・・今は運命感じてる」


ヨコチは俺は?って具合に自分を指差したがドールに無視された。


つづく。


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