第27話:紅一点、選取 みどりの思惑。

男の、それも17歳の男子の頭の中なんてスケベなことで渦巻いてる。

勉強よりも、性欲で悶々とした毎日を送っている。

決して人前では言えないようなことを妄想してたりするもんだ。


「ドールの前で、下手ネタは禁止だからな」


太陽君はヨコチに釘を刺した。


「なあ、一晩だけでいいから、ドールちゃんを俺に貸してくれない?」


ヨコチは、手を合わせてお願いポーズをした。

紅一点を除いて他の4人も同じようなポーズをした。


「何言ってんだ、バカか」

「お前みたいな変態オタクにドールは貸さない!!・・・ってか、ドールはモノ

じゃないんだぞ」


「でも本人がいいって言ったら、いいだろ?・・・」


「ねえ、ドールちゃん、うちに来ない?」


そう言われてドールは、あかんべ〜した。


「あなたは私の好きなタイプじゃありませんから・・・ 私が好きな人は

太陽君だけです、だから、どこにも行きません」


「もう一度いいますけど、タイプじゃないので〜」


「タイプじゃないってよ」


「一生好きになることはないと思います」


「ダメ押しだな」


ヨコチはドールに立ち直れないくらいはっきり言われた。


「わ〜ショック・・・三日は落ち込むな・・・」


「三日か?、たった三日?・・・立ち直り早いな」

「まあ、おまえは日頃の行いが悪いからだよ」

「普段の素行が全部自分に跳ね返って来てるんだよ」


「おまえだって、俺とあんまり変わらないだろ」


「俺はおまえみたいにコソクじゃないからな」


「ところで・・・朝陽さんと日向さんにはドールちゃんのこと、もうバレたんだろ」

「バレるよな、あんなに大騒ぎになったんだから」


「あのな、今頃遅いネタだよそれ」


「そうか、じゃ〜もう怖いもんなしだな」

「これで、大手を振ってどこへでもドールちゃんを連れて行けるじゃないか」


「そうだな、知らない人はドールを見てもコスプレが趣味の女の子だって

思うだろうしな」


「お前だけ、いい目して・・・なんでこれが俺んちじゃなかったんだよ」


「逆に、お前んちじゃなくてよかったと俺は思うよ、ヨコチ」


「あ〜つまらん・・・来て損した・・・俺もう帰るわ」


残りの男4人もヨコチにつられて帰って行った。


紅一点、選取よりどりみどりだけは帰る時、太陽君になにかを渡した。

どうも紅一点はドールに興味があったわけじゃなく太陽君が狙いだったみたいだ。


ドールを守る会に入ったのは、自分一人で太陽君ちに来る勇気がなかったため、

どさくさに紛れようって魂胆だったらしい。

だから、ドールを守る会の抽選に当たった時、心の中ではガッツポーズ だったに

ちがいない。


「ヨコチは物語の主役が自分じゃなかったことを嘆きながら買ってもらった

新しい自転車を漕いで帰って行った。

ついに自分の自転車を買ってもらったようだ。


前のママチャリは盗難届が出されたようだが出てくるはずはなかった。

この世に存在しない自転車をいくら探しても無駄というもの。

どっちにしてもヨコチには新しい自転車を手に入れたんだから自転車を盗んだ人に

感謝すべきだろう。


つづく。


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