第26話:セックスって何?。
5人を紹介するのも面倒なので、唯一の紅一点だけ紹介しておこう。
残りの4人はその他エキストラってことで・・・。
その子の名前は、
最近は女性のオタクも珍しくない。
根暗、愛想がめちゃくちゃ悪いので当然友達もいなくて、 いつも漫画や
アニメ動画ばかり見ている。
太陽君もその子が漫画を読んでる姿しか見たことがなかった。
でも、太陽君は選取 みどりとはゲームのことで一度だけ話したことがあった。
そして、ヨコチも入れて全員が改めて品定めするようにドールをしげしげと見た。
いや、男4人がノルを見ていたのであって
厳密には選取みどりの視線は太陽君にあった。
ドールは人にじろじろ見られるのはもう慣れていた。
「今更だけど、ドールちゃんは可愛いよな」
メンバーの中の誰かが、ボソッとそんなことを言った。
「アイドル育成シミュレーションゲームのデザインを担当したイラストレーターの
センスがよかったってことになるんだろう」
「今更だけど、やっぱりパムよりドールちゃんのほうがいいな〜」
「ちゃんと息してるし・・・動いてるし」
男4人は、ヨコチが言ったことにいちいちうなずきながら、ドールを珍しそうに
見ていた。
だいたい人の後を金魚のウンコみたいについてくるやつに限って消極的で
陰険でおとなしいやつが多い。
自己紹介したり、自主的に質問したりする積極的な男はひとりもいなかった。
ドールは、太陽君とヨコチの会話を黙って聞いていたが ヨコチにはまったく
興味がなかった。
だから、すぐに太陽君にべったりくっついた。
「今更だけど、おまえいいよな・・・」
「なにが?」
「自分の好きなキャラがいつもそばにいて毎日見れるんだぞ 」
紅一点を除いて男4人はそうだそうだと言わんばかりにうなずいた。
「ま、それはな・・・」
「要するに、好きな子がそばにいて変な気持ちにならないかって話だよ?」
「別に・・・」
「って言いたいけど、ならないわけないだろ・・・」
「そりゃそうだよな、まともな男ならな・・・」
「ヨコチ、もし、俺がおかしな気分にならなかったら、俺は男やめるよ」
「一緒に寝てるんだろ?」
「もう、やったのか?」
「なにをだよ・・・そういう下品な言い方やめろよ」
「じゃあ、セックスしたのか?」
「露骨だな・・・そんなことドールの前で言うな・・・」
「セックスって何?」
「ほらな」
「もう耳がダンボなんだから、ドールの前でセックスなんて言うな」
「ねえ、セックスって?・・・」
「ドールはいいから・・あとで教えてやるから・・・」
エッチとセックスが同じだって知らないんだ・・・ドールは。
「で?あるのか、ないのか、どっちなんだよ・・・セ・・・ツ・・・ク・・・ス」
「切って話したって、同じだよ、バッカじゃねえの、おまえ」
「それに、そんなこと、まだだよ・・・」
「早い人は会ったその日に、アレするって話だぜ」
「そうか〜まだか・・・じゃあドールちゃんを守る会、あらため、ドールちゃんの
バージンを守る会に変更しようかな」
「勝手に変えるな・・・つうか、俺とドールの承諾なしに変な会作るなよな!!」
「それって、言っとくけど非公認だからな」
「しょうもない報告が終わったら、とっとと帰れよ」
太陽君はドールがヨコチの家に現れなくてよかったとつくづく思った。
ゲーム好きなら、生身の「パム」ドールがいて、おかしな気分にならない男なんて
いるわけない。
もし、ヨコチの家にドールがいたら・・ヨコチは今ごろカエルかゴキだな。
まあ、でもたぶんヨコチはクチだけだから、何にもできないと思うけど。
典型的草食系男子の代表みたいなもんだからなヨコチンは。
あ、違った、ヨコチは・・・。
つづく。
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