第25話:ドールちゃんを守る会。

次の日、ヨコチが日ノ本家にやってきた。

なぜか同級生を引き連れて・・・男5人に女1人。


「やあ、太陽君・・・今日は、あることを報告に来たんだ」

「あと、自転車盗まれた・・・・誰かに持って行かれた」


ヨコチのママチャリはドールによって服に変えられてしまっていた。


「普通ならおまえの自転車が横に並んでたんだから、おまえの自転車盗むよな」

「どうみてもおまえの自転車の方がいい自転車なんだからさ」

「俺なら、おまえの自転車狙うけどな・・・」

「よりによってなんで俺のママチャリなんだよ、まったく」


「報告ってのは、それか?」


「違う、違う、そんなことじゃない、自転車は盗難届け出したよ」

「実はな、聞いて驚くなよ」


報告ってのは、あの騒動以来、ヨコチは


「ドールちゃんを守る会」


なる いかがわしい会を発足して全校でメンバーを募ったらしい。


やめておけばよかったのに応募人数が多すぎたため抽選ってことになって、

で結局、選ばれたのが今日来てる5人と言うことで、

この5人がプレミアム会員、残りの人たちは一般会員と言うことになったらしい。


プレミアム会員のみの特典ってのがあって手ずくりの会員証と「ドールちゃんを

守る会」なんて腕章を作ったみたいだ。

あとドールと直接会ってコミュニケーションを取れる権利、ドールとのツーショット

取り放題とサインつき。


今日来てる5人も腕章をつけていた。

既成の腕章を買って下手くそな字で 「ドールちゃんを守る会」 ってマジックで

書いてあった。


「ヨコチ・・・何考えてんだ」

「ドールを守る会って・・・おまえには関係ないだろう?」


「いや、今回のようなことが、また起きないとも限らないだろ?」

「あのコンビニでの強盗事件・・・かえる事件」

「あれネットに書き込んで、もみ消したの俺だぜ・・・」


「え?あの偽物ですって書いたの、おまえだったのか?」


「ああでもしないと収拾がつかなくなりそうだったからな」


「ヨコチだったのか・・・ヨコチ君・・・やるじゃないかよ」

「ありがとうヨコチ君・・・今夜からおまえんちに足を向けて寝るわ」


「なんだよそれ、全然感謝のカケラもないじゃないか」


「感謝なんかするかよ、なに自分から自慢げに言ってるんだよ、そもそも俺んち

にたくさん野次馬が来たのはお前がドールのことをネットに流したからだろ?」


「それに、そういうのは黙ってるから美談になるんだよ」

「で、今度もまたドールを守る会?・・・はっきり言って迷惑だよ」


「なに行ってんだよ、ドールちゃんにもしものことがあったら大変だろ?」

「要するに自警団が必要になってくるだろう、的な・・・」


「頼りになりそうもない自警団だな」


「何もすることなんかないから即解散だな」


「せっかく報告に来たんだから、そんなこと言うなよ」


「で?ドールちゃんは・・・上、二階にいるのか?」


太陽君がドールがいるともなんとも言ってないのに、ヨコチは二階を

指差して、 お邪魔しますとも言わず、その他5人を引き連れて、ずかずか

階段を上がって太陽君の部屋に入っていった。


「あ、ドールちゃんおっはよう〜♡」


「おはようございます、ヨコチンさん」


「ヨ、ヨコチン?・・・あのさヨコチンじゃなくて、ヨ・コ・チ、だから・・・」


人の名前なんて間違ってることなど特に気にせずドールは笑顔で挨拶した。

太陽君に見せる時の笑顔と違う笑顔で・・・愛想笑いってやつかな。

そんなことも気づかずヨコチは鼻の下が異様に伸ばしていた。


その他5人はエグザイルの「Choo Choo TRAIN」のぐるぐる回る ダンスみたいに

順番にドールを見た。

この5人、先日の日の本家の前に行列した時にも来ていたかもしれないが

なんせ大人数だったから太陽君は、いちいち覚えていなかった。


つづく。


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