第22話:ねえ・・・エッチっどうやるの?。

騒がしい出来事があったから、朝陽さんも日向さんも 漠然と分かっていたが、

昨夜、太陽君がコンビニでのことや、ドールの能力について説明して 聞かせてくれたおかげで、おおかたのことは把握した・・・ 。

でもまだ信じ難い気持ちだった。


朝刊を読んでいた朝陽さんもドールを見た。


「おはよう、ドールちゃん」


「おはようパパさん」


「真実は小説より奇なりだな」


当のドールは、何もしていないわけで、だれかれなしに愛想を振りまいて

自分のことで世間が騒いでいたことが面白かったらしい。

ドールは賑やかしいことが好きな性格のようだ。

基本的に彼女はパリピなんだな。


でも、今朝のドールは、すこぶるお腹が減っていた。

ドールがパンをほおばっていると2階から太陽君が起きてきた。

キッチンテーブルの椅子に座った太陽君にドールが朝の挨拶をした。


「おはよう、太陽君」


「おはようドール・・・」


朝陽さんと日向さんにも太陽君は「おはよう」って挨拶した。

大あくびをして、寝ぼけまなこの太陽君を見て


「おお〜あっくび〜」


そう言ってドールは太陽君の顔を満面の笑顔でのぞき込んで、さりげなく

チュってクチビルにキスした。


いきなりキスなんかされた太陽君は一気に目が覚めた。


この間まで太陽君は、朝陽さんと日向さんにドールのことを言い出せず

困っていたが、今回の件でドールのことが両親にバレてたことは結果的に

それはそれでよかったのかなって思った。


朝からチューなんかされて太陽君がニヤニヤしてると


「何がおかしいの?・・・」

「あ、分かった・・・太陽君エッチいこと考えてるんだ」


「考えてないよ・・・なんでそう言う発想になるかな」

「って言うか、どこでエッチなんてそんなこと覚えたんだよ」


「太陽君の読んでる本に書いてあったよ」


ドールは太陽君が学校に行ってる間に、太陽君の部屋でテレビを見たり本を

読んだりしてちゃんと勉強していた。

たぶんその中にエッチな雑誌もあったんだろう。

そもそも思春期の男の部屋にエッチな雑誌がないほうがおかしいのだ。


「男の人と女の人は、仲良くなったらエッチするんだって・・・」

「エッチって、すご〜く気持ちいいんだって、太陽君」


「ねえ・・・エッチっどうやるの?」


「お〜い・・・そんなこと大きな声で俺に聞くなよ」

「ったく、肝心なことが分かってないんだからな・・・」

「そんなこと・・・まじで俺がドールに性教育しなきゃいけないのか?」


朝陽さんと日向さんは顔を見合わせてから、ドールの言葉を聞かなかった

ように知らんぷりをした。


つづく。

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