第21話:嵐が去ったあとの日の本家のひととき。

なんだ、かんだでマスコミによってまた賑やかになった日ノ本家・・・ドールは

面白がっていた。

もとはと言えばその原因をつくったのはのドール本人なのに・・・。


例のコンビニでの防犯カメラの映像に関して、誰かは知らないが


「申し訳ありませんでした・・・あの映像はフィエイク動画でした」


ってSNSにコメントした人がいて、そのおかげはわからないが、日の本家の前に

たむろしていたマスコミ連中は、取材が取れないのも手伝ってほとんどが撤退

していった。


いったい誰がそんな親切な書き込みをしたんだろう?


マスコミが消えて、某国のヘリが去ったあとも、どこかの大学の教授だとか

名乗る人物がやってきたり・・・ ヒトゲノムを研究してる有識者だと名乗る人が

訪ねてきたりした。

それも75日経った頃には、来なくなった。


人はそう言う非常識で不条理なもの科学では解明できないようなことは

基本的には認めたくないようにできてるようで噂やネタになることはあっても、

それ以上追求されることはなかった。

ほとんどの人がドールが面白おかしく作られた存在なんだと思い始め、ただの

コスプレーヤーかなにかだろうってことで幕は下りたようだ。


現時点においてドールの存在は人類にとって非科学的なことなのだ。

それでも一部の怪奇現象だとか未確認生物だとかの本を出してる出版社からは、

しつこく電話がかかってきた。


この人たちは現実的であろうが非現実的であろうが、そんなのは関係ないのだ。

雑誌の売上にさえ貢献できれば・・・ネタにさえなれば、それでいいのだ。

結局それも75日を境に電話はかっかってこなくなった。


最終的には日ノ本家の上空でしばしばUFO目を撃したという人たちが現れ

はじめた。

しばらくすると日ノ本家に、あきらかに人類ではない宇宙人とか、はたまた

エイリアンの類が時々訪ねて来るようになった。

もっとも異星人なんて今は普通に街を歩いてるわけでさして珍しいことでも

なかった。


UFOがたまにしか目撃されないのは、勝手に上空を飛ばれたら危険と政府から

飛ぶことを止められているからだった。


日ノ本家に、やってきた宇宙人の大半は、ドールの知り合いだったり

友人だったりしたようで日ノ本家のみなさんに危害を加えられると言うような

ことはなかった。


だから太陽君と日向さんは、またもやゆっくり腰を落ち着かせる暇もなかった。


自由に自分の時間を楽しんでいたのはドールと朝陽さんだけだった。


真面目な話なんだけど、ドールには国籍も戸籍もないわけで、だから結局

ドールは日の本家の養女と言う形になった。


さて今日は土曜日。

これまでの忙しい出来事で愛想を振りまいていたドールも少々お疲れ気味で、

ろくにご飯も食べてなかったからお腹が減っていた。


太陽君を起こさず、2階から降りてきたドールは キッチンカウンターに向かって

朝食の支度をしてる日向さんにおはようも言わずに、


「ママさん、お腹がすいた」


「ドールちゃんお腹空いたの?・・・ちょっと待ってね」


って言って、しばらくしてドールのために、ブルーベリージャムを塗ったパンと

ミルクティーを出してくれた。


「まあ、だけど、本当に太陽が言ったようにこんなことってあるのね〜」


ドールを見て日向さんは不思議そうにそう言った。


つづく。



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