第5話:メタモルフォーゼ。

「残ったこの子、お名前は?」


「あれだけたくさんいたんだぞ・・・今更名前なんて分かるわけないじゃん」

「それに俺が勝手に作り上げた子かも分からないし・・・なら名前なんてねえよ」


「そう・・・分かった・・・じゃ名前は私の名前で行くか・・・」


「ちょっと待ってね」


ドールはそう言うと太陽君の頭から抜けでると、絨毯の上に降りた。


「いい?、私の変身が終わるまで、触んないでよ・・・」


「触ったらダメなのか?」


「蝶々でもサナギから羽化する時、触っちゃダメでしょ・・・あれと同じだよ」


「え?羽化するのか?」


「違うよ、ボケ!!」


「ボケ、ボケ、言うな!!」


「あのね、今から私は太陽君の理想の女の子にメタモルフォーゼするの」


「メタモル?・・・フォーゼ?って、なに?」


「見てれば分かるの・・・静かにしてね」


光の玉だったラビリンスは、少しづつ光りながら大きくなって徐々に人の形に

なりはじめた。

さらにクルクル回って、ゆっくり止まるとそこに可愛い女の子が座っていた。


摩擦で絨毯が燃えなかったのはドールがわずかに宙に浮いていたからだ。

それは、まさに間違いなく太陽君の理想の女の子。


「はいメタモルフォーゼ終わり・・・改めてよろしくね、太陽君」


「あのさ、触れないって・・・あれだけ早く回ってたら・・・」

「てか、なんでマッパなの?かなりデカめのおっぱいがボヨヨ〜ンって見えてる

けど」


太陽君がドールの裸を見ても大して動じなかったのは動画や画像なんかで

女性の裸を見慣れていたからだった。


「でも、生は動画や画像とは全然違うよな・・・魚でも生のほうが美味いし」


「太陽君が脳の中の女の子に服着せてなかったからだよ、スケベ」

「俺が俺の脳みその中をどうしょうと勝手だろ?なにか?罪にでもなるのか?」


「屁理屈・・・もういい」


そう言うとドールはまたクルクル回った、で、止まるとセーラー服を着た

ドールが座っていた。


「なんで、セーラー服なの?」


「太陽君の脳みその中に脱ぎ捨てられたセーラー服があったから・・・」

「理想の女の子にはちゃんと服着せとかないと風邪ひいちゃうよ・・・もっと

大切にしなきゃ」


「無理にセーラー服着なくても・・・ドールは裸でもよかったんだけどな」

「だけど服は着せてないと俺が四六時中興奮しまくっても困るか・・・」


「どこまでもエッチいね、スケベなんだね、エロいよね太陽君」


「悪かったな・・・俺は不幸だとは思わないけどな」

「それよりさ、俺の妄想の中だけでしか逢えなかった子が現実に、目の前に

現れたじゃん・・・」

「実際のほうがめちゃ可愛いし・・・これから毎日ドールと暮らすのか?」

「でさ・・・今は触っても大丈夫なの・・・?」


そう言われてドールは太陽君に手を伸ばして彼の腕を掴んだ。


「触れるよ・・・ハグもできるし、チューだって・・・」


「もう一声」


「何よ、もう一声ってスケベ」

「って言うか・・・私、おっぱい大き過ぎない?」

「異様に大きんだけど・・・重いんだけど」


「ヒンヌー族よりはイイだろ?・・・それに俺、巨乳好きだし・・・」

「あ、そうかスケベな太陽君の頭の中にいた子だもんね」


「だから〜、スケべ、スケベ言うのはやめろ〜」


「まあでも、これで人間同士でお友達になれるね?」


「お友達?・・・とんでもない、ドールは俺の彼女だよ」

「元々俺の脳みそにいたんだから俺のものだろ?」

「今日からドールは俺の彼女・・・いいよな?それで・・・」

「逃げようたって逃がさないからな」


「そこは逃がさないじゃなくて、離さないでしょ」


「逃げられると困るし・・・」


「私を監禁するつもり?スケベ」

「いいじゃん、どっちでも・・・俺たち恋人同士なんだから」

「束縛し合うのが恋人同士ってもんだろ?」


「うん、まあじゃ〜そゆことで・・・私と太陽君はたった今から恋人同士」


「恋人同士っていい響きだな・・・だけどこれで他の女の子と付き合えなく

なったじゃん」

「さすがに俺も浮気やっちゃうほどダメ人間じゃないからな」

「でも、つまみ食いくらいならいいかな?」


「さいってい!!」


って訳で、有機生命体だったドールは太陽君の理想の女の子になった。

さて、さてこれからどうなるんでしょうね〜。


つづく。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る