第3話:太陽君の理想の彼女。

「ゲゲッ・・・まじで、玉がしゃべってるってか?」

「まさかな・・・玉だぞ、玉・・・もしかしてこれってポルターガイスト?」

「それとも幻覚?・・・まぼろし?・・・蛍?・・・飛蚊症とか?」


「違うよ、余計なこと言わなくていいからね・・・バカに見えるから」

「集中して、太陽君・・・私だよ、ボケ」


「口の悪いやつだな・・・」


太陽くんは自分の目の前で光ってる玉に向かって言った。


「やっぱり、おまえがしゃべってるんだよな」


「そうだよ〜私、もう一ヶ月間も前から太陽くんちにいたんだからね」

「それでね、太陽くんとお友達になりたくて、そろそろいいかなって思って

声をかけたの」


「光の玉が?・・・俺と友達?」

「それはな〜どうだかな〜人間の形それも可愛い女の子の格好でもしてたら

考えてもいいけど?」

「ただの玉じゃな・・・」

「パチンコ屋に行ったって一回しか打てないし・・・」


「ただの玉って失礼だよ、ゲームオタク〜、ヘタレ〜」


「まじでクチ悪いな」


「私、ドール・・・有機生命体なの」


「へ〜ドールね・・・玉に名前なんかあるんだ」

「見たことない物体だけど、君、地球のものじゃないよね、そのくらい

俺でも分かるわ・・・SFも好きだから・・・」


「うん、遠い宇宙から来たの」


「へ〜そうなんだ・・・遠路はるばるご苦労さん・・・ちなみに旅行?・・・

あ、分かった家出だろ」


「正解・・・太陽君、すご〜い!!」


「まあ、バカでもだいたい想像つくけどな・・・」


「だから私行くところがなくて・・・」

「太陽くんちに置いてもらって太陽君と仲良くなりたいの」


「さっきも言ったけど・・・光の玉とだろ?」


「このままがイヤなら太陽君がいいと思ったものに変身できるけど」


「うそ、そんなこと出来るんだ・・・器用なんだな?」


「なににでも自由に変身できるよ」


「そう・・・じゃ試してみるか?・・・さてとなにがいいかな?」

「なにがっつうか、誰がいいかなってことだよな・・・どうせ友達って

ことになると、やっぱり可愛い女の子がいいんだから・・・」

「可愛い女の子ってそんなリクエストでも大丈夫?」


「大丈夫だよ・・・じゃ〜太陽君の理想の女性に変身してみる?」


「お〜それいいね・・・」


「じゃ〜頭の中で理想の彼女、思い浮かべて・・・覗いてみるから」


「覗く?・・・」


「頭の中の妄想を取り出して太陽君の理想の彼女になるから」


「あのさ、脳みそかき回されて俺、バカにならないよね」


「ならないよ」


「あ、なるほどね、ならいいや・・・まあ、半信半疑だけど・・・まさかって

こともあるからな・・・」

「じゃ〜いいよ・・・やって?」


「行くね・・・雑念払ってね・・・」


な訳でドールは太陽君の脳の中を覗いた。


「ん?・・・これは・・あはは・・・すごい妄想の渦」

「脳内チエックしたら女の子の文字で埋め尽くされるね、太陽君」


「なわけないだろ・・・適当なこと言わないでくれる?」


「・・・・ああ、ダメかも」


「なに、どうしたの?早くしてよ」


「なにこれ?」


「なにが?」


「太陽君・・・え〜頭の中にいる理想の彼女って何人いるの?数が多すぎて、

どの子に変身したらいいのか決められないよ」

「わ〜野外コンサートに来てるみたい」

「まじ変態だね、太陽君」


つづく。

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